小西マサテル「名探偵のままでいて」(2023 宝島社)という本を読む。これも昨年の話題作。第21回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
元小学校の校長先生でレビー小体型認知症を患う71歳祖父による安楽椅子探偵もの連作短篇ミステリー。この祖父が日ごろ幻覚を見たりするのだが、孫娘・楓(27歳小学校教師)が持ち込む謎や殺人事件を聴いただけで、ズバッと明快に謎を解く。
居酒屋での密室殺人、一学期最後の水泳授業中に失踪したマドンナ先生、教室内幽霊騒動、同僚教師の冤罪事件、そしてヒロイン楓への正体不明で不気味なストーカー事件。
どれも謎としてちょうどいいレベルとボリューム。
本編中に海外ミステリーを酷評する劇団員がレギュラーに登場するのだが、この名探偵老人も孫娘もミステリー愛好家。会話のところどころでマニアックな会話が出てくる。
会話もユーモアがあっておしゃれ。おそらく読者はホームズ譚や、クリスティ、チェスタトンといった短編の名手たちの作品への愛を持っている。
最終話のスリルとサスペンスと、そのラストも味わいがある。登場人物たちのキャラも良い。センスも良い。
これは読んでいて映画やドラマになりそうな本だと感じてた。さすが話題作。面白かった。
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