二階堂黎人「奇跡島の不思議」(1996)を角川文庫(2001年初版)で読む。こいつもコロナ期に購入した積読本。ワクチン会場近くのBOで110円購入したもの。
二階堂黎人を読むのはこれで4冊目。表紙を見てもどんな話なのかまるでわからない。
鹿島灘沖に浮かぶ周囲2kmほどの無人島に、昭和の初めに白亜の大神殿を建てた素封家とその娘。戦争へと向かう暗い時代に頽廃の酒池肉林。多くの絵画や美術工芸品を収集。
しかし、その娘が首なし死体となって発見されて以来クローズ。
そして、美大の学生グループと高校生、そして県立美術館の職員が収蔵品鑑定調査に向かう。チャーターした漁師の船で2時間。船がまた来るのは1週間後。
で、学生たちが事故死。いつのまにか頭部を切断されるという死体損壊事件も。
この学生たちはかつて同美術サークルでひとりの美女をめぐってドロドロの乱れた性。1人の自殺者を出した後、問題の魔性の女も白血病で死亡。
島の白亜の館には管理人夫妻がいるのに、外部と連絡手段がない。そんな場所に学生を連れて行くとか現実としてあり得ないしおかしい。怪我や急病にまったく対処できないではないか。
そして女子学生の死体が浮かんでる。管理人夫妻が同時に惨殺。メンタル病んでる女子高生を鍵付きの部屋に監禁してたら別の場所で惨殺。地獄のホラー展開。
そして生き残った者たちのぐるぐる議論。
なんか、綾辻行人とか読み過ぎたせいで、もうこんな現実的でない絶海の孤島クローズドサークルとか、毎回同じような雰囲気でさすがに飽きてきたかもしれない。
そして美術と芸術に関する膨大なうんちく。これは日常的に美術と絵画というものに興味を持ってる人じゃないと置いていかれるかもしれない。
終盤にさしかかって探偵役を買って出た大学生が論理的に推理して「こいつが犯人だ!」と指摘する。だがそれは否定される。
そして、さらに頭のいい探偵役がぬるっとインしてきてさらなる長広舌。一向に終わらない。
その真相は何層にも積み重なった重厚なもの。かなりの力作。なにせ679ページの大長編。読んでも読んでも終わらない。それなりの満足感はあったが長すぎる。読み終わったときにはもうヘトヘト。
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