2024年7月1日月曜日

G.K.チェスタトン「ポンド氏の逆説」(1936)

G.K.チェスタトン「ポンド氏の逆説」(1936)を読む。福田恆存訳の創元推理文庫で読む。全8編の短編集。
昨年秋に処分するという古本をもらい受けてきた。1977年に初版というから相当に古い。文庫裏に当時の価格が220円と書かれている。読み終わったらページをのりづけ修復しないといけない。
THE PARADOXES OF MR. POND by G. K. Chesterton 1936
自分、G.K.チェスタトンを読むのがこれで2冊目なのだが、1冊目で相当に苦手な作家だと感じた。読みづらい、わかりづらい、典型的な英文和訳だった。今回も相当に覚悟して読み始めた。

三人の騎士
小柄で見た目はさっぱりした紳士ポンド氏は穏当で筋の通った話の途中で、奇妙な発言をする。外交官ウォットン卿にプロシャ軍で起こった逆説的な出来事を語って聞かせる。

ポズナンを占領したプロシャ軍。グロック将軍はポーランドの国民的詩人ペトロウスキーの死刑執行命令を伝達。だが、それを聴いて不機嫌になった殿下が執行停止命令と詩人の釈放命令を早馬で出す。それを見て将軍は伝達が届かないようにせよと命令。結果、詩人は釈放され生きている。何が起こった?部下が全員忠実に命令を守った結果?え、これって何かの寓話?

ガーガン大尉の犯罪
ポンド氏の友人ガーガン大尉にかけられた殺人容疑。詩を愛するアイルランド人青年が3人の女性それぞれに言った言葉が同じものだったのに、それぞれによって解釈が違うことに気づいていて…。

博士の意見が一致すると……
スコットランドでの事件を話し合う。意見の一致したふたりが片方を殺して…というものだが、これは今読んでもあんまり得たものはなかった。

道化師ポンド
官吏のポンド氏がまるで現代のITセキュリティ担当者のよう。日本もこれぐらいスパイには注意するべき。「情報が漏れちゃった」で担当者を無罪放免すべきでない。

名ざせない名前
牡蠣を食べながらウォットン卿とのパリでの想い出話。逮捕追放すべきだが、逮捕追放が難しい人物とは誰か?これは時代を感じる。古い欧州ならでは。

愛の指輪
ガーガンが居合わせたクローム卿夫妻パーティーでの宝石消失と死亡事故。

恐るべきロメオ
ガーガン大尉は逃亡中の殺人犯!と友人から聞かされ困惑のポンド氏。私的に法廷形式でガーガンと関係者の話を聴くと…。

目だたないのっぽ
これも外交機密を守るために奮闘するポンド氏。オチはそんなこと?!

うーん、どれも短編ミステリーという気がしない。オススメできるものはない。自分としては、「三人の騎士」「名ざせない名前」が短編小説として味わいがあって好き。

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