2024年7月4日木曜日

恒川光太郎「秋の牢獄」(2007)

恒川光太郎「秋の牢獄」(2007)を角川ホラー文庫で読む。こいつも無償でいただいてきた文庫本。この作家の本を読むのは初めて。3本の短編を収録。

「秋の牢獄」
「11月7日水曜日」を何度も何度も繰り返す大学2年生女子。寝て起きればまた昨日と同じ。なにこれ?20回繰り返すともう数えるのも止めた。
だが、自分の他にも同じ体験をしている人々と知り合う。みんな一緒に公園で過ごしてる。
中には数百回繰り返してる人もいる。

だが、全身白いウェディングドレスのようなヒラヒラした「北風伯爵」と呼んでいる怪物が街をすべるようにさ迷い歩いている。こいつにつかまると、「リプレイヤー」は消える。もしかして11月8日に送られる?

今まで読んだことのない不思議な話。世にも奇妙な物語。使ったお金も翌朝目を覚ますと財布に戻ってる。ということは、自分なら朝一で競馬場へ行って大きく増やしてから豪遊に行けばいいのにと思った。

「神家没落」
知らない路地に迷い込み、藁葺屋根の家から出てきた「翁」の仮面をつけたおじいさんに導かれ家に入ると、おじいさんは消え失せ、代わりに自分がその家に閉じ込められて…という、これもやっぱり「世にも奇妙な物語」。

衣食住の心配はいらないのだが、次の身代わりを招き入れるために工作してカフェを装う。こいつなら…という身代わり男を自分の代わりに家に閉じ込めたのだが、どうやらこいつは殺人犯だった…という意外な展開。味わいのある怪談。

「幻は夜に成長する」
小さな幻術を使う祖母と暮らしていた幼女リオとその後の話。これもファンタジー童話的。アナザーみたいなジャンルかもしれない。それほどホラー要素はない。これはあまり印象に残らなかった。

以上3本、どれも不思議怪談系童話。芥川の杜子春、漱石の夢十夜のようでもあった。
内容も文体も平易。中高生向けかもしれない。

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