2024年5月9日木曜日

西澤保彦「七回死んだ男」(1995)

西澤保彦「七回死んだ男」(1995)を講談社文庫版で読む。2011年18刷で読む。ラーメン食べに出かけた先のBOで110円購入。初めて読む作家。

表紙から想像してたのとまるで違うPOPでライトな内容。
主人公は16歳の高校生・久太郎。ボンクラなのに名門校に編入で入学。なにせタイムリープで同じ状況を9回繰り返す。何度でもやり直しが効く。なので年の割に達観してて老けて見られる。

久太郎の祖父・渕上零治郎は小さな洋食屋のコックだったのだが、妻を亡くしてから酒とギャンブルでやさぐれてしまい、3人の娘の長女と三女は逃げるように家を出る。
長女はそれなりの男をつかまえ3人の男児を産む。三女は高校教師と結婚し2人の女児を産む。
次女は家を逃げ出すタイミングを逃した。だが、零治郎は競馬で万馬券を当てて以後、株も逆張りで勝ちまくり、家業のレストランも次々に大当たり。大企業へ成長。
次女は現会長になってるのだが、婚期を逃し独身。いずれ後継者問題。

一方で長女の旦那はリストラで放心状態。三女の旦那は16歳女子生徒に手を出してしまい懲戒解雇。
こうなったら、飲んだくれ零治郎に取り入って、子どもたちを次女の養子にしてもらうしかない。そう遺言状を書いてもらうしかない。

という矢先に、娘たちと孫たちが集まった正月に、零治郎は屋根裏部屋で撲殺。
主人公は何度もタイムリープするたびに、殺人を防ぐために少しずつ展開を変えようとするのだが、何度やっても祖父が殺される展開を変えられない。なんだかコメディのよう。
七回死んだ男って主人公でなく、主人公の祖父なのかよ。

ずっと同じ状況の繰り返し。読んでる方も頭が混乱。こんなの、ハッキリ細部まで理解して読み通した読者っているの?
長編推理小説ではなくて、とびきりややこしい新しいファンタジーSFだった。遺産相続の見苦しさというコメディーだった。読んでる最中は楽しかったけど、自分はそんなに評価してない。

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