2023年5月25日木曜日

アーサー・C・クラーク「地球帝国」(1975)

アーサー・C・クラーク「地球帝国」(1975)を読む。山高昭訳の1978年早川書房海外SFのヴェルズ版で読む。
今回自分が入手したものはさすがに45年経ってるだけあって、ページにところどころシミがあって古さを感じるものだった。
IMPERIAL EARTH by Arthur C. Clarke 1975
土星の衛星タイタンへ人類が植民し数世代。有力者マッケンジー一族のダンカンは30歳にして初めて地球へと帰還する。合衆国500年祭に参加するために。

タイタンのメタンとアンモニアが巻き起こす気象環境や、地球へと向かう宇宙船の技術的な説明は詳しく書かれているのだが、なにせ45年前の知識。それが今も正しいのかは自分にはわからない。

タイタン人はすでに子どもができない場合はクローンを作り出す技術を持っている。だがやっぱりクラーク先生であっても、数十年後にはスマホのような端末を全員が持ってる未来は想像できてなかった。(電卓、辞書、カレンダー、情報を送受信するカメラ端末は存在する)
宇宙船に図書館があったり、民主的投票で上映映画が決まったり。このへんは今現在の少年たちが読んだら「?!」ってなる可能性がある。

宇宙で数世代を過ごした人類が地球に帰還することで起こる最大の試練が重力であることは想像がつく。それは解決が難しい問題だ。トレーニングを積むだけでなんとかなるだろうか?
文明世界を数世紀、何十世代と蓄積した地球人に対するタイタン人の眼差しは、田舎から都会を見るようなもの?!

地球の日差しの強さに驚き、動植物に感動。ヒラヒラ舞う蝶に感動。初めて口にする蜂蜜の味に感動。大きな馬に感動。そういうの、タイタンでは映像作品とかで見てなかったの?
蜂蜜の味にノスタルジーのようなものを感じた。なぜ?
以前地球からやってきてダンカンとカールの兄弟と三角関係になったキャリンディーのカラダの味?そこはエロス。

人類がタイタンと往復できるようになる遠い未来、2276年になってもウォーターゲートビルがあるし、ワシントンナショナルギャラリーに「ジネーヴラデベンチの肖像」がある。「タイタンに戻ったら友人たちに俺は本物のダヴィンチを見たと自慢できる!」
けど、水運が廃れているというのは理解できない。21世紀になっても水運は資材運搬の主力。

「地球帝国」というタイトルからまるで想像できない内容だった。タイタン石と何か法律違反?サイクロプス計画、カールの目的、アーガス計画?
表紙に描かれた土星とウニのようなもの。こいつは何だ?やっぱりウニなのか。

この本を読んだことでしばらくアーサー・C・クラークから離れていいと思った。面白いというより、昔の人が考えた未来がぜんぜん遠いなと感じることが多い。

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