佐々木、イン、マイマイン（2020）

「佐々木、イン、マイマイン」（2020）を見る。2020年第33回東京国際映画祭でプレミエ。監督脚本は内山拓也。主演は藤原季節。配給はパルコ。

本来なら自分はスルーした映画だったのだが、小西桜子、河合優実が脇役で出演してるのでいちおう見る。

もう最初から見たくないものばかり。若い男の汚部屋。社会の現実。

主人公石井悠二（藤原季節）は27歳。目を覚ました同棲相手ユキ（萩原みのり）がけだるそうに夢の話とかする。この同棲生活もすでに終えることになっている。

町工場でボール紙の箱をテープで貼るような単純作業の仕事。

居酒屋で須藤（村上虹郎）という役者仲間と近況を語る。須藤はちょくちょく役があるらしいが、主人公はもう役者の道を諦めかけてる。やさぐれ始めてるし暗い。

ある日、悠二は職場で高校の同級生の多田（遊屋慎太郎）と再会。居酒屋で語り合う。何も楽しそうじゃない会話。ほぼ口論。そして他の客とケンカ。夜明けの街を歩く。

そして佐々木（細川岳）との楽しかった高校時代の日々を断片的に回想。この佐々木が呆れるほど馬鹿そうで陽気。チリチリ頭。高校生なのに教室で全裸になる。

佐々木の家（ゴミだらけのボロ家）がたまり場なんだけど、たまに家に戻る父親が金なさそう。笑えない。

高校生悠二もばあちゃんと暮らしてる。日々なにも楽しくなさそう。

進路希望を書こうったって、何も思いつかない。勉強したってろくなものになれそうもない。

暗い。楽しいことってバッティングセンター行ったりバスケしたりだな。ああ、そういえば明るいのは佐々木だけだな。

学校で一番可愛いのは市ノ瀬（小西桜子）だけど、びっくりするぐらいの端役。

佐々木は初詣の神社の雑踏で父を目撃して追いかける。佐々木は明らかにショックを受けている。学校も休む。一体何が？

佐々木はカップ麺しか食べてないようだが、これはほぼネグレクトでは？

え、佐々木の父は亡くなった？なんか、よくわからない展開。でも、高校の同級生のことなんてよくわからないほぼ他人。

佐々木の父親の件は、役者になった舞台稽古で同じ状況が出てきて「もしや？」と気づく。舞台演出家が厳しい人でなくてよかった。

しかし、役者を目指すってことは夢がある。地方の田舎でパチンコなんてやってても何も楽しそうじゃない。日本という社会の雰囲気がまさにこれ。未来に何も希望が持てない。

井口理 （King Gnu ）が朝からパチンコ屋に並ぶようなチンピラ役で出演。

河合優実は佐々木の人生においてただ一人の特別な女の子という役。女の子のひとりでもいないと人生になにも花がない。なのにただの友だち？

大人も高校生もまったく冴えない暮らし。だらしなく暮して希望もない。おそらく日本の大多数がこんなかんじ。

バカ男子友だちの突然の訃報へと収束する映画。男は若くても中年でも悲哀しかない。暗い気分にしかならなかった。

でも、悠二（生真面目）とユキの恋愛映画でもあった。わかりづらい時系列だった。

ユキ役の萩原みのりはなぜかこの映画の監督と2021年に結婚。監督の才能を見込んだのかもしれないが、自分はもうこの映画は見返さないかな。