2022年11月22日火曜日

東川篤哉「館島」(2005)

東川篤哉「館島」(2005)を創元推理文庫(2011年第8刷)で読む。これは友人とBOに立ち寄ったときに友人が買ったもの。わりと本棚でよく見かける本。110円。友人よりも先に自分が読んでしまった。
この作家の本を読んだのは初めて。てっきり「ひがしかわあつや」かと思っていたら「とくや」と読むらしい。

町工場から一代で成り上がった天才建築家で建設会社社長・十文字和臣氏は、瀬戸内海の孤島に建てられたドーム型展望台屋上を頂く六角形で4階建て、真ん中円筒部に巨大螺旋階段、各階に台形型の6部屋があるという異形の別荘1階踊り場で変死体となって発見される。
死因は階段から落ちたというような傷でなく、3階以上から墜落したような脳挫傷が致命傷。だが、墜落現場が見当たらない。島に3階以上の建物もない。

1980年代が舞台。まだ本四連絡橋はない。事件から半年以上経った8月のお盆、康子未亡人は同じ別荘に当時の関係者とは他に、岡山市の美人探偵・小早川沙樹と、岡山県警捜査一課の若手刑事・相馬隆行(主人公)を招待する。このふたりが事件の探偵役?
島を巡回するフェリーで島に着いた時から最悪な出会い。
ふたりが議論(ときに喧嘩)しながら事件を解くというミステリー小説。しかも「館」と「島」という、「新本格」の王道な要素。

亡き夫の跡を継いで県会議員になった妻・野々村淑江、その美しい19歳娘奈々江には亡き十文字氏と県議の間で交わされた息子たちのいずれかとの結婚の約束があった。奈々江をめぐって兄弟たちは相争っている。

朝食の時間だが長男と三男の姿が見えない。屋上展望室内側からかんぬきが掛かった密室状態だったのだが、部屋の中から三男(現妻康子との子)がかんぬきを抜いて出現。そして、展望室で長男(前妻との子)が死体となって発見。三男「これは罠だ!奈々江との逢引きをエサに手紙でおびき出され睡眠薬入りワインで眠らされていた!」

そして台風で県警が来れないという状況。これも本格推理物の常道。たまにふざけシーン。
だが、犯行時刻が真夜中で誰もアリバイがない。最重要容疑者となってしまった三郎を部屋に軟禁。
そして館を取材に来ていた建築雑誌記者が転落死。館の立つ土地と、本四連絡橋の橋脚を設置する土地の取引をめぐる黒い噂。

これ、5分の4ほど読むと犯人が判明するのだが、その後の展開は自分が苦手とするバカミスだった。刑事と探偵、そして美少女の3人のやりとりがずっと面白かったのだが、肝心のトリックが大ネタすぎて自分の好みと相いれない。
やはりこういうのは「それ」を映像で示してくれないとモヤモヤしたまま。それほど納得もできない。ちょっと失望。会話がずっと全員標準語なのはクドさがなくて良い。

これは映像作品にするのが大変だと思う。島田荘司「斜め屋敷の犯罪」と同じ理由で。それを実際に建てるしかない。

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