西村京太郎「特急しなの21号殺人事件」(1995)を1998年徳間文庫で読む。友人の本棚に昔からあった本なので取り出して読む。
自分が西村京太郎を読むのは十代のころ以来。通算で4冊ぐらい読んだ気がする。もうだいぶ長い間まったく西村京太郎に関心なかったし手に取ろうとも思わなかった。
今年3月に突然の訃報を聞いた。数冊読んだ作家なので追悼の意味も込めて読む。
5月の朝、東京井の頭公園で発見された30代男性の刺殺体。ポケットの中に長野善光寺の「凶」おみくじ。「北東は危険」
被害者男性は3月に銀行を退職しぶらぶら暮らしていたのだがわりと裕福。お金の出どころが不明。
さらに、名古屋から長野に向かう「しなの21号」のまばらな座席で30代女性が注射針によって毒殺。お金は盗まれていないのだが、シャネルのハンドバッグの中からやはり善光寺の凶おみくじ。「北西は危険」
いつものように十津川警部が亀井刑事と相談しながら聞き込み捜査。警察には第三の殺人予告。
時代はバブル崩壊後と長野五輪の間。すでに携帯電話はある。
さらに野沢温泉でも経営コンサルタント30代男性の刺殺体が見つかる。やはり善光寺の凶おみくじ。「南東は危険」
被害者女性はデザイン事務所を経営してるらしいのだが実態はない。やはりお金は大量に持っている。
被害者は3人とも3月以前の生活を切り捨てて新しい生活を始めてる。これは…、3人で何か巨額な詐欺事件でも起こしたか?!
そして第四の犠牲者になりそうな女性を保護するため、十津川警部は道後温泉へ。この女性の部屋から善光寺「凶」おみくじが発見。だが、犯人によって拉致された?
本の後半、東京に急送を依頼された患者ということにされた女性は爆弾を仕掛けられた飛行機に乗せられ、間一髪で浜名湖に着水。というあたりから、あれあれ?というツッコミ展開へ。
浅草のカニ料理店経営者老夫婦の心中事件から真犯人らしき人物が浮上。唐突すぎる。
さらに共犯女性のキャラが特異。
亀井刑事の5歳の娘が犯人によって誘拐。犯人から警察が保護してる女性と交換要求が。そして緊迫の中央道。
この本、読むのに2時間ぐらいでちょうどいい感じ。内容がとても平易だし頭に入ってきやすい。
2時間刑事ドラマ脚本のようなサスペンス娯楽小説。終盤の雰囲気と犯人の造形が昭和初期の乱歩みたい。
西村京太郎はこのレベルの作品を大量に残した。この作品について触れてる人はテレビドラマ作品ついてコメントしてる人が多い。
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