2022年8月19日金曜日

アガサ・クリスティー「蒼ざめた馬」(1961)

アガサ・クリスティー「蒼ざめた馬」橋本福夫訳1979年ハヤカワ文庫版(1991年第20刷)で読む。
これも4年前に100円で見つけてずっと積んであったもの。手に入れたときからあまり状態はよくなかった。私的クリスティーマラソン83冊目。
THE PALE HORSE by Agatha Christie 1961
主人公のマーク・イースターブルック氏は著述を仕事にする学者らしい。オリヴァ夫人と仲良くしてるのでてっきり中高年かと思ってたら、読み進めるうちに青年だとわかる。
チェルシーのカフェでコーヒーを飲んでると若い女同士のケンカを目撃。後日、その当事者のトミイ21歳が病院で自然死してたことを知る。

場面が変わる。感冒から肺炎になって危篤の女性(謎めいてる)のアパートで最期を看取り懺悔に立ち会ったカトリック司祭が、霧の夜の路地で撲殺。この人の良い優しい神父は靴の中にメモ書きを残していた。その人名リストにある名前を調べると、何人かすでに亡くなっている…。

コリガン医師からその件を知らされたマークは不審なものを感じる。ステディな彼女もいるのだが、赤毛娘のジンジャと一緒に調査。
ルジュヌ警部は殺された神父を尾行していた男を探す。調剤薬局の主人がその男をしっかり見ていたのだが、その男は数年前から小児麻痺によって下半身がマヒしていて歩けない。

マークは三人の魔女が住むという宿屋兼居酒屋「蒼ざめた馬」が人々の死に関わっている疑惑を強める。いろんな人々のところへ出向いて話を聴いて確信。その仲介をしているのが弁護士のブラッドリィ氏?

マークは遂に潜入囮捜査のようなマネをする。赤毛のジンジャを巻き込んで。
「蒼ざめた馬」の三人の婦人がオカルト的な方法で人を自然死させている?!

これ、今まで読んできたクリスティ女史の作品とは一線を画すサスペンスホラー長編?
自分は読んでいてずっと困惑してた。場面が断片的で映画っぽい目線。
もし中学生時代の自分が最初にこの本を選んでいたら、アガサ・クリスティーにはそれほどハマらなかったかもしれない…などと考え始めた。それほどまでに独特な一冊。

だがしかし!ジャジャが大ピンチ?!そしていよいよ事件の黒幕に迫る!という段になって予想外な真相!さすがクリスティ女史だったわ。

でも、ずっとどんなジャンルなのかわからず読んでいた時間が長くてストレスだったw 全体としては退屈だったのに最後の最後で何かがスパークするような作品。
主人公よりも陰で動いていた刑事のほうが実は冷静沈着で有能だったという肩透かしパターンでもあった。そしてセンス高いおしゃれなラブコメエンド。

ちなみに、この物質を使った殺害事件は日本でも実際に起こっていた。
あと、邪知暴虐のプーチンが反体制的人物やジャーナリストを「--」によって殺害する事件が英国で最初に発覚したのは、英国人がクリスティのこれを読んでたからじゃなかったかと思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿