2021年9月23日木曜日

殊能将之「美濃牛 MINOTAUR」(2000)

殊能将之「美濃牛 MINOTAUR」(2000)を講談社NOVELS版で読む。初めて殊能将之を読む。ノベルズ2段組み活字527ページの大ボリューム。

これが自分が事前に聴いていた内容と違っていた。浸かると癌も治るという聖なる泉を取材に行ったら、地主の畜産業者のブランド牛「美濃牛」の取材をせざるをえなくなる話。

4ぶんの1ほど読んだところでやっと殺人事件が起こる。美濃牛を生産する畜産業者の長男26歳が木に吊るされた状態で発見。首がない!
やっと話が動き出したかと思いきや、やっぱりまたいろいろ停滞。共同生活してる若者たち、都会で暮らす畜産業者の弟たち、村娘の妊娠…。

あと、この本でもやっぱり俳句に熱中する人々が登場。大手ゼネコンの嘱託社員っぽい風情で村に入り込んで、雑誌ライターたちを招き入れた石動が、刑事たちから邪魔扱いされつつ村のあちこちで世間話しながら聞き込みしてる。

半分まで読んでやっと2人目の犠牲者。今度は美濃牛を育てる羅堂氏(第1の殺人の被害者の父)が牛の像の角に刺さった状態の死体となって発見。
そして拳銃発砲男が逃走し山狩り。奇跡の泉のあると言われる洞窟で瀕死の男発見。
そんなバタバタした状況で羅堂の不動産業弟が橋の下で死体となって発見。

そして最後は洞窟探検。それは乱歩・横溝から続く日本人のDNA。
真犯人の動機には「え?」って思った。バブル経済時代の相続税問題からややこしいことしてた問題。それほど驚けなかった。
長すぎる。句会のシーンとかいらない。引用とかペダンチックで不要。

何か新しい特別なものを期待してもそれはない。2時間ドラマになりそうな娯楽エンタメ作。

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