2021年9月26日日曜日

殊能将之「黒い仏」(2001)

引続き殊能将之「黒い仏」(2001)を読む。講談社NOVELS版で読む。前作の「美濃牛」の半分以下の226Pというちょうどいいボリューム。

この本は、天台山で学んだ唐留学生の高僧が灰色の海を見て日本に帰ろうか…という場面から始まる。9世紀。

助手の不法滞在中国人アントニオとふたり、都心の待ち合わせ場所へ急ぐ石動戯作。バイオハイテク企業の社長大生部から、福岡県二丈町阿久浜の山寺安蘭寺に隠されているらしい円載の秘宝を探して欲しいと依頼された。

そしてダイエーVS巨人の王長嶋対決日本シリーズにわく福岡。住民がそろって家賃を滞納してるようなボロアパートの一室で、絞殺された男の死体。なぜか部屋からは指紋がまったく検出されない。

安蘭寺の阿久浜周辺でアル中オヤジにつきそう若い女という父娘に出会う。この女が福岡で短い間性風俗店に勤務していたにしては新築一戸建てに住むなど何かヘンだ。
この女は被害者男性と一緒にいたところを目撃されていた?なにやら社会派ミステリーっぽい。東京福岡の航空便アリバイとか清張っぽい。

これ、何か新機軸のちょっと変わった本格ミステリーなのかな?と思って手にとった。だがそれはまったく違っていた。後半から読者がまったく予想できなかったジャンルの本だったことが判明。
ミステリーと探偵と同時並行に、クトゥルー神話的な妖魔と何やら仏教勢力の壮大な超能力バトル?!

荒唐無稽だった。何か新しいものを期待してまったく珍奇なものが出てきた。これを面白いと言う人も多いのだが、自分としてはナシだった。大人が読むような小説でもない。
殊能将之という作家はデビュー作「ハサミ男」が有名だそうだが、自分はもうこの作家の本を手にとらないだろうと思う。

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