2021年7月12日月曜日

ドビュッシー「音楽論集 反好事家八分音符氏」(1921)

岩波文庫青から出てるクロード・ドビュッシー(1862-1918)音楽論集 反好事家八分音符氏(ムシュー・クロッシュ・アンティディレッタント)平島正郎訳(1996)を読む。

自分、最近までドビュッシーが多くの音楽評論を書いていたって知らなかった。同時代のワーグナーを強く意識しつつ、同時代の作曲家を絶賛したり貶したり。コンサートに出かけて感想を書いたり、フランス楽壇を批判したり。

100年以上昔のパリ、フランス楽壇、クラシック音楽への批評なので、現在の読者が読むといろいろとよく意味の解らない表現、忘れられた作曲家や作品に出くわす。ドビュッシーの書く文章が個性とクセが強い。相当に風刺が効いた表現をしている。
この本はドビュッシーの書いた評論以上に、訳者による解説文が多い。訳者にもよくわからない当時の事情や作品への言及などがある。

ドビュッシーは「トリスタンとイゾルデ」は好きだったみたいだけど、大体においてワーグナーに批判的。
以外にもムソルグスキーの「子供の部屋」という歌曲集をすごく褒めている。デュカスのソナタ(聴いたことない)を褒めている。
ニキシュ指揮のベルリン・フィルコンサートで聴いたリヒャルト・シュトラウスの「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を褒めてるようで嗤ってる。

この本は巻末の解説も読んで初めて理解できる。たぶん、ドビュッシー以外のフランスの作曲家たちの音楽もだいたい聴いてないと、この本はちんぷんかんぷん。

自分、クラシック音楽史でJ.S.バッハの次に偉大な作曲家はドビュッシーだと思ってる。残した楽曲はどれもが偉大な傑作。この本を読んだことで初めて人間ドビュッシーを感じた。

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