2021年4月26日月曜日

大河ドラマ「太平記」(1991)

昨年4月からBSでやっていた1991年度NHK大河ドラマ「太平記」再放送を見終わった。主人公足利尊氏を演じたのは当時の二枚目アクションスター真田広之

2週まとめて見たり、3週まとめて見たりしてたけど、ほぼ放送スケジュールに従って見てた。
驚いたことに昔の大河ドラマは抒情的シーンのテンポがとにかく遅い。2倍速で見てちょうどいいか遅いか。結果、史実と関係なさそうなシーンは早送り再生してしまった。
昨年は「麒麟がくる」も見ていたので、池端俊策脚本大河を2本掛け持ちして見てた。足利幕府の始まりを描いたのが「太平記」、足利の終わりを描いたのが「麒麟がくる」だった。
近年の大河ドラマは新説も交えて描くものが多い。この「太平記」は吉川英治「私本太平記」を底本としたもの。戦前の皇国史観が交じってる。
そもそも戦前の教育を受けた世代にとっては足利尊氏は極悪人の逆臣。足利尊氏は誰もが知ってるのに大河ドラマの主人公になったのはこの1回かぎり?
とにかく平成初期のキャストが華やか。沢口靖子、宮沢りえ、後藤久美子というキャストは当時の人気アイドル女優たち。
故人となってしまった俳優も多いけど、現在も活躍する有名俳優女優が多数。実は、大河の過去作でこれが一番見たかった。
とにかく登場人物が膨大でとてもすべて書ききれない。無名に近いのに、創作上の人物なのに、すごく重きを置いて取り上げられてる人もいる。

その中でベストだなと感じたのがバサラ大名の佐々木道誉を演じた陣内孝則。30年間イメージが上書きされないハマリ役。鎌倉幕府討幕の旗を挙げた初期から尊氏と腐れ縁。毎回毎回登場のしかたが「フハッハハハ!」そればかりで呆れたw
鎌倉幕府の北条得宗家を支えたナンバーツー長崎円喜(フランキー堺)、金沢貞顕(児玉清)といった人々も初めてドラマで見れた。
名前だけ知ってた北条高時(片岡鶴太郎)の暗愚ぶり。炎上し滅びゆく一族のシーンは憐れ。このドラマ一番のインパクト。鎌倉時代はまだ切腹の作法は確立していない。
Tくんといっしょに鎌倉に行くといつも新田が攻め入って鎌倉が炎上した様子を話してくれてたのを思い出した。
楠木正成(武田鉄矢)、新田義貞もドラマではほとんど見ない人々。新田義貞は病気降板の萩原健一から根津甚八へと途中交代。
後醍醐天皇(片岡孝夫)の忠臣だった新田。その最後は哀れだった。鎌倉から政権を取り戻したものの、建武の新政は混乱したまま終了。
大塔宮護良親王(堤大二郎)や後醍醐天皇を支えた三木一草とかも初めてドラマで見た。(結城親光はまったく登場せず)
千種忠顕は脇役ではあるけど本木雅弘だったので目立っていたように感じた。足利にも新田にも冷たい後醍醐帝側近の悪役。阿野廉子(原田美枝子)もほぼヒール。
南朝の北畠親房北畠顕家親子も登場。とくに、顕家を演じたのが後藤久美子だったのはびっくり。美少年若武者を美少女アイドル女優に演じさせるというパターンは現在に至るまで大河ドラマ史上唯一の事例。この方法は今後も使うべきなのに。あまり登場はしなかったけど、最期は哀れだった。
このドラマ全体を通して、とくに出番が多かったのが尊氏とその弟足利直義(高嶋政伸)だったのだが、一色右馬介(大地康雄)、旅芸人柳葉敏郎もやたらと出番が多かった。
高師直(柄本明)も最初から最後までずっと出っぱなし。塩冶高貞の美人妻に懸想するという史実が疑われるシーンまであった。兄弟で増長してやがて憐れな最期。
太平記は楠木正成と後醍醐帝の死後はもうどうでもいい。話そのものに爽快感がない。とくに新田義貞の敗走が憐れすぎる。
尊氏と直義の日本の歴史上最大最悪の兄弟げんかも大迷惑。終盤は性格の悪そうな顔をした足利直冬(筒井道隆)の出番もとても多かった印象。

この大河ドラマを見通したことで、今後「太平記」登場人物たちがこのキャストで頭に浮かぶようになってしまう。金沢文庫のあたりを通りかかれば児玉清さんの顔が浮かぶかもしれない。高時の腹切りやぐらのあたりに行けば片岡鶴太郎さんの顔が浮かぶかもしれない。

そろそろ2回目の太平記大河ドラマがあってもいい。足利直義か新田義貞を主人公にしてもいいかもしれない。

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