2021年2月10日水曜日

前田建設ファンタジー営業部(2020)

「前田建設ファンタジー営業部」(2020 バンダイナムコアーツ、東京テアトル)を見る。監督はまたしても英勉。この人は2020年に4本の映画が公開。すごい。
脚本は劇団ヨーロッパ企画の上田誠。企画プロデュースは佐治幸宏。
 
前田建設工業株式会社(わりと大手ゼネコン)による「アニメやゲームに登場する建造物を実際に作ったらどうなるか?」を検証するWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」をVFX実写映画化…したものらしい。

ビジュアルを見ると主演は若手公報営業社員高杉真宙。真面目で固い。ちゃちゃっとHPを作るウェブデザインもできる社員らしい。
軽くてウザイ上司(おぎやはぎの小木)の「マジンガーZのプール地下格納庫をウチの技術でできんじゃないの?」という思いつきに呆れ嫌々関わる。やがて本気で取り組むようになっていく。という架空のプロジェクトXファンタジー。

同僚上地雄輔「いけるでしょ!ウチはダム作ってんすよ。」岸井ゆきの「できるでしょ。昔のアニメだし。」本多力「ダムと違ってゲートが横に開くんすよ。水の重さがまともにかかってできないです!」
とりあえず設計と見積もりと工期も出す。え?そこまでやって実際には作らないの?おぎ「ウェブでやる公報企画だよ!」

あまり映画らしくない。企業広報PR動画っぽい映像が続く。劇団っぽいわちゃわちゃしたやりとりが続く。
予算ゼロで周囲の目が冷たいのに、上司おぎが有能なのでどんどん企画を進めていく。

小木の演技があまり映画っぽくない。声でかい。(いつもの小木)
本多も声でかい。こいつらの暑さとウザさで前半スベリぎみ。温度差で笑わせようっていう。
そして、いい大人がなに熱くなってんだよっていう笑い。物好きおじさん技術者はどの部署にもいる。シンパがいる。

マジンガーZを実際にDVDで詳しく調べて見ると、格納プール形状の「作画の揺れ」「設定の揺れ」が大きくて、これでは実際に見積もりだすのは難しい…とか笑った。
しかも第69話では横に移動って。「聞いてないよ!」ってつっこむ。永井豪のきまぐれさは罪。

大規模土木建設技術を学ぶ映画。「ゼネコンで働くおじさん」劇場版。かつて土木技術で列島を改造してきた日本人の矜持。そこがわかるまで見方がわからなくて戸惑う。

タモリ倶楽部の工学的テーマ回が好きな人が見ればいい企画。この映画でいちばんしっくりハマってたのは六角精児だったかもしれない。

機械メーカーに外部委託?ってなってから面白かった。みんな真面目で真剣。

人類の航空機の開発、宇宙開発の歴史もかつてこのようなものだった。次々と想定してなかった問題が起こる。それをひとつづつ解決してきた。ジャッキアップポンプを連動稼働させるソフトウェアの開発はできそうだ。超合金の開発もいつか可能かもしれない。そんな夢を見る建設業界の大人向けファンタジー映画。
てか、宇宙エレベーターとかスペースコロニーって人類がいつか実際に作れる日がくるんだろうか。

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