2020年10月17日土曜日

松山ケンイチ「聖の青春」(2016)

まだ見てなかった「聖の青春」(2016 角川)を見た。若くして亡くなった実在のプロ棋士村山聖(むらやまさとし 享年29)を描いた映画。

この時期の松山ケンイチが太っててびっくりしたのだが、この映画のための役作りだったことを後に知ってさらにびっくりした。役のために太ったり痩せたりすることのできる俳優ってほんとにすごい。

映画は道でぶっ倒れてる松山ケンイチを見つけたおっちゃんが将棋会館へ運ぶシーンで始まる。この親切なおじさんに対してなんの御礼もなしかよ!いきなり嫌なスタート。
将棋会館って千駄ヶ谷にあるイメージだったけど大阪にもあったのか。

将棋の対局シーンの合間にこれまでの村山聖の半生を描く回顧シーン。この人はずっと病弱。そして少女マンガの愛好家。わりと難しい人で変わり者。吉野家の牛丼へのこだわり。

聖がネフローゼであることを医者から告げられるシーン。ショックを受けてる母親に「なんでもっと早く診せなかった?こどもを一生付き合わないといけない病気にさせた」と責める気遣いのない医者が酷い。昔はもっとこんな医者が多かった。
聖が少女マンガを買う古本屋の店員が新木優子だ。関西弁優子かわいい。2シーンしか登場しない。
村山の東京のアパートを一緒に探す筒井道隆が髭面でパッと見わからないぐらい別人。調べてみたら筒井と松山は身長180㎝だが松山のほうがでかく見える。

東出昌大の若き日の羽生善治がすごく雰囲気あって感心。声質や喋り方は似てないけど。東出は村山よりもさらにデカい。
将棋指しは普通の人と違う。毎日勝ち負けがハッキリする勝負をしている。

鼻血を出して人生賭けた戦いに挑む染谷将太の悲愴。年齢制限とかほんとに嫌な規則。
プロもアマもなく同じ盤で勝負できるのが将棋じゃないのか?ネット対戦で本当に一番強いやつを決めたらええねん。

自分、小学生の頃わりと将棋をしてたけど、ぜんぜん強くならなかったw たぶん5手詰め将棋ドリルとか根を詰めてやらないと人より強くはなれない。

そもそもスーツを着て密室で座布団で座って黙ってボードゲームとか自分は耐えられないw なんでパーティーテラスにテーブル置いてわいわい楽しそうにカクテル飲んでやらないんだ?相手が次の手指すまでの間に散歩とかしたい。

将棋と酒と麻雀。気づいたら膀胱がんになっていた。ほぼ手遅れ。悲しい。死を意識しながら羽生との対局。息が詰まる緊張感。
ふたりでこっそり飲み屋に出かけるシーンがよい。このふたりの趣味会話がまったくかみあわない。

膀胱を摘出するということがどういうことか?を示すシーンが一瞬ある。恐ろしい。
年老いた両親に看取られて未婚のままひとり息子が死ぬという哀しみ。人が死ぬ映画ってもうあまり見たくない。

わりと静かでドライな映画。このテーマを描くとこれ以外にないという表現だったと思う。
この映画を見ると村山聖というライバルの死後もずっと第一線にいる羽生善治の凄さをさらに意識する。

主題歌秦基博「終わりのない空」

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