2020年11月27日金曜日

アガサ・クリスティー「死が最後にやってくる」(1945)

アガサ・クリスティー「死が最後にやってくる」(1945)を読む。私的クリスティマラソン71冊目。加島祥造訳の早川書房クリスティー文庫で読む。

今回はなんと紀元前2000年ごろの古代エジプト・ルクソール周辺が舞台。
夫が死に出戻った寡婦レニセンブがこの物語のヒロイン。古代エジプト人とは思えない論理的思考で迷信を信じない現代人。ほぼ英国婦人w

墓所守一家の家長インホテプ、その長男でおとなしく愚鈍なヤーモスとその口うるさい妻、やんちゃでやらかしも多い次男ソベクとその妻、三男で美少年イピイ、インホテプの老母エサ、ずる賢い告げ口家政婦ヘネット、管理人ホリ、みんな父インホテプに依存して生活している。

北方の領地から帰館したインホテプが娘よりも若い愛妾ノフレトを連れてきた。なにやら一家に緊張が走る。まるで古代エジプトの犬神家の一族。
仕事のトラブルでインホテプは再び北へ。ノフレトを家族の中に置いていく。

このノフレトが邪悪で不気味な存在。もともと不穏だった家族たちに新たな軋轢。やがてノフレトは崖の上の小径から転落死。
この事件をきっかけに、長男の妻も同じ場所で転落死。毒入りの酒を飲み次男死亡。一緒に酒を飲んだ長男は危うく一命をとりとめるも衰弱。何者かが甕に毒を入れるところを目撃した少年奴隷も殺される。言動が粗暴で野心的な美少年三男も溺死。つぎつぎと人々が死んでいく…。ノフレトの呪いなの?!

レニセンブ、書記で有能な番頭ホリ、家長的な祖母エサの3人が首を突き合わせて一家の内部にいる邪悪な殺人者が誰か相談。この3人だけが現代人でマトモな思考ができる。次に命を狙われるのは誰?

ついには祖母エサも殺され、一家内部を女主人のごとく取り仕切る邪悪家政婦ヘネットも殺された。そしてついにレニセンブにも魔の手が!

これも推理小説というよりは家族内サスペンス小説。怪しい奴がつぎつぎと死んでいく。真犯人は十分に意外。人間心理を描いていてなかなか佳作だと感じた。
クリスティ作品が好きな人には十分にオススメできる。中世以前の日本に置き換えても映像化は可能だと思う。だがその前になんとか古代エジプトを舞台にした映画化希望。

巻末解説を読むと、レニセンブはアガサ、ホリはマックス・マローワンがモデルか。年下の考古学者を夫としたアガサのノロケ恋愛小説? 
写真どころか肖像画もなかった時代は、再婚したら前の夫の顔とか思い出せなくなったんだろうなあ。

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