2020年8月5日水曜日

アリストパネース「雲」(BC.423)

アリストパネース「雲」を読む。紀元前423年に大ディオニューシア祭で上演された戯曲。ソフィストを風刺しソクラテスが登場するギリシャ喜劇。
昭和24年高津春繁訳を昭和32年に岩波文庫化した古いもの。

ずっとギリシャ悲劇を読んでやっと喜劇に手を出したわけだが、意味がなんとなくしかわからず困惑。
主人公ストレプシアデースは借金の利息に悩み、大食いで乗馬ばかりする息子ペイディッピデースにぼやく。

家のとなりにソフィストの道場がある。弟子入りして弁論術を身につければ訴訟で借金をなんとかできるかもしれない。だが、老齢で耄碌して技術を覚えられない…。ソクラテスの言葉遣いがまるで乱暴。罵られる。じゃあ、息子に学ばせよう。

紀元前5世紀のギリシャ人同士の会話を日本人が訳すと、それはまるで江戸の古典落語のように響く。
だが、やはり当時の常識や時事ネタがわからないので、なにか面白いやり取りなんだろうなということは伝わってくるのだが、やはり意味を理解するのは難しい。

話が予想した通りに進んでくれない。よく意味が分からないし展開がカオス。
初演も改訂版も失敗した劇なので、現代人が読んで何も感銘を受けないにしても致し方ない。

岩波文庫の表紙に書いてあるあらすじはオチしか書いてない。ここを読むと面白そうに感じるけどそうでもない。「正論」と「邪論」という役が登場し討論したり、客イジリしたりする。読んでいて困惑。
古代ギリシャにも借金や訴訟で頭を悩ませる人がいたと知ることができた本。

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