2020年5月8日金曜日

有村架純「夏美のホタル」(2016)

有村架純の主演作リストに「夏美のホタル」という映画があるので見てみる。2016年夏に公開になっている。同名の原作小説があるようだ。

こんな映画の存在をまったく知らなかった。有村は「ストロボエッジ」「ビリギャル」以降、多くの主演作がある。話題作というと、かろうじて「ナラタージュ」ぐらいしか思い浮かばない。知名度のわりに主演作品にはそれほど恵まれていない気がする。

監督は廣木隆一。この人の作品は何一つ自分と合わないのだが、どうしてこんなにもコンスタントに若手女優映画の仕事があるんだろう。

冒頭から飲み会シーン、有村架純と工藤阿須加は写真学生カップルらしい。
行為が終わった後だと推測される部屋の奥、布団から出たパンツ一丁男が画面のこちら側にやってきて部屋着ステテコを履くシーンとか意味がわからない。服を着る有村の姿は奥で小さく映ってる。普通逆だろ。

横から撮られた有村の胸があきらかに大きい。ムチムチ。なのに男の裸が有村の姿を遮る。
固定カメラのようでいて画面が微妙に揺れている。たとえば是枝映画ならカメラがすーっと滑るように移動しフェティッシュに肉体を撮るであろう場面。
男は写真を諦め実家へ戻り酒屋を継ごうかなと話を切り出す。女は腹を立てる。なんか唐突。
ヒロイン夏美はバイクで山道を走る。有村架純はバイクの運転ができるんだ。

ドローン空撮の棚田シーンがイイ感じ。これはひょっとして数年前に行った鴨川の大山千枚田? すかさずグーグル航空写真で確認。やっぱりそうか。(ラストで自分も同じ場所でフィルムで撮っていた場所がでてきて驚いた)
だがこれは房総の魅力的な風景を入れてみましたというだけでドラマと関係なかった。

田舎のやってんだかやってないんだかわからない個人商店で水とカップ麺を買う。店主が光石研。脚が不自由。
ヒロインは会ったばかりなのに許可も無く機械シャッター音バシャバシャ店主を撮影したり、個人情報を話したり、スイカを出してきた吉行和子が「写真家の先生になるの?」とか訊ねる。いろいろ違和感。
「泊まってけ」に至っては、アメリカなら完全にサスペンスホラー展開。この母息子を見たらヒッチコック「サイコ」に出てくるモーテルを連想。

渓流でひとり川面をバシャバシャ写真を撮る有村。暗くなってもバシャバシャ。この時点でじつはカメラにフィルム入ってないんじゃないかと疑り始めたw フィルムカメラでホタルなんて撮れないだろう。
光石は脚が不自由なのにこの親子は夏美につき合って真っ暗になるまで川にいる。田舎の子どもほど夜遅くまで外にいない。いろいろ見ていて不安。

工藤阿須加もやってきて「泊めて」ってなる展開に緊迫した。なんか不安になる常識の無さ。
庵に住む仏師小林薫が嫌味な人。こいつと有村は衝突。こんな難しい中年男が村にやってきてたった5年ぽっちで住民と親しくなれるのか?こんなやつの掘った仏とか魂なさそう。
でも、若者二人よりは常識ありそう。

光石が突然倒れて重い人間ドラマ。障害のある中年男性と老いた母。社会の現実。みていてつらいし面白くない。
だが、ヒロインの父親の話を光石が話し始めたときはちょっと驚いた。

光石の葬式後、綿毛を飛ばすタンポポを見送る有村。地蔵さんという愛称で呼ばれていた光石に似せた地蔵を仏師小林に掘らせる有村。
夫婦になったふたりは再訪。有村は身重。地蔵に手を合わせ、父との想い出の場所へ。じつは深いのかもしれない。

この映画、せっかく有村が白いすべすべ生足ショートパンツ姿でいるのに引き画で撮るな!お風呂シーンを無駄に撮るな。この監督は大事な話をしてる男女は常に遠くから撮影するのが個性か。
主題歌はUru「星の中の君」。

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