2020年5月31日日曜日

鮎川哲也「ブロンズの使者」(1984)

鮎川哲也「ブロンズの使者」(1984 )という、1966年から82年までに発表された短編を集めた文庫版(2003 創元推理文庫)をきまぐれで買ったので読む。一昨年秋ごろに100円で買っておいたものをやっと読む。

顎鬚が濃く頭が禿げあがった達磨のようなバーテンダーが客から話を聴いただけで謎を解く。近年よくみるような設定。実は昔からあったのか。

ブロンズの使者(1966)
歴史ある新人文学賞を受賞した作品への盗作の訴え。受賞者と盗作されたと訴える両者に話を聴きに編集者が熊本へ調査に出向くのだが殺害される。
まるっきり同じ書き写しをしたのはどちらか?これは特に驚きもない。両方が保持する原稿をじっくり読んで違う箇所をピックアップすれば誰でもわかるだろ。

夜の冒険(1976)
証券会社に勤める夫の浮気を疑う妻から依頼された調査。ずっと尾行シーン。だが、その背後にあった真相。これは自分としては面白かった。

百足(1976)
パーティの席での宝石盗難事件の真相。この作家はバーテンにこうじゃないかと語らせたらそれ以上は蛇足を書かないところがよい。

相似の部屋(1976)
貝コレクターの翻訳家が殺され貴重な貝が盗まれる。貝を隠したコインロッカーの鍵が推理作家の家の牛乳箱から発見。だが、殺害時刻に茶人に茶器の鑑定をしてもらっていた女はアリバイを用意していたっぽい。飛鳥山と善福寺のマンションのアリバイが強固で一筋縄でいかない。
40代探偵が悪態つきつつ地道に捜査するも最後の壁が突破できない。やはりあのバーテンダーに相談する。

マーキュリーの靴(1980)
推理作家が自宅で自殺?それとも他殺?雪の上の足跡は被害者と訪れた編集者(第一発見者)のものしかない。死の直前の被害者に電話をしたライバル作家は電話口でバックに落語が聴こえていた?古典的なミステリーだが、落語の件はあんまり納得いかない。

塔の女(1982)
道玄坂にあるという「タワー東京」の展望台から女が消えた。バッグが残され地上には緑のジャケットが発見されたものの遺体は発見されない。女はどこへ?これもわりと古典的なミステリー。

どれもがそれほどややこしくなく難易度が短編小説として適切。軽妙でユーモアがあって、気晴らしにめくってさっと読める。ホームズ短編のような味わい。このシリーズは今後も読みたい。

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