2020年3月24日火曜日

有栖川有栖「女王国の城」(2007)

有栖川有栖「女王国の城」(2007)を読む。これで有栖川有栖5冊目。
火村探偵シリーズは2冊読んでそれほど面白く感じなかった一方で、江神大学生探偵とアリスのシリーズは「孤島パズル」「双頭の悪魔」のいずれもうなるほど面白かった。なので期待して読む。

創元推理文庫版がぜんぜん見つけられない。なのでこの創元クライム・クラブ版で読む。こちらはBO相場は200円。ただし、活字2段組500ページを超える大長編。この本自体が凶器になりそうなぐらいにデカい。

おなじみ京都英都大ミステリー研メンバーは木曾の山奥にある新興宗教団体本部に潜入したまま連絡がとれない江神さんに会うために車で向かう。

この本、ずーっとムダに長い状況設定の説明と事件と関係のない脱線ムダ話が延々と続いて閉口。EQに傾倒する著者らしいっちゃらしい。
宗教施設内の信者たちの様子の記述などはほぼ「TRICK」で見たような雰囲気。ユーモア。

読んでも読んでも事件が起こらない。
ただ、昔その村で起こった未解決事件は初老の元巡査の口から語られる。自殺か他殺か?都会から実家へ戻ったヤクザものが家で頭を撃ち抜かれて死んでいた事件。これが密室殺人?村で目撃されたよそ者も消失。

真ん中あたりまで読んでやっと、教団にとってもっとも大切な聖なる洞窟を拝む部屋で警備をしていた教団信者が、首を絞められ殺されているのが発見される。
だが教団幹部たちは現場保存しようとしないし、「2日間待って!」と警察にも連絡しようとしない。
教団内に滞在していた江神一同は軟禁状態に置かれる。ますますTRICKっぽい。

外部と連絡をとるべく脱走するも村から出られない。村人の9割は信者だから。ちょっと電話を借りて警察を呼ぶことすらできない。このへんの捕り物はスリルとサスペンス。TRICKの上田と山田 VS 村人を彷彿とさせる。

さらに信者2人が頭を銃撃され殺害。まあとにかくページをめくってもめくっても終わらないw ヘトヘトになってようやく江神くんは一同を集めてたどり着いた真相を披露。これもとにかくダラダラ長い。

え?死後硬直でそんなことが起こるの?!

結論から言って「孤島パズル」「双頭の悪魔」ほどには面白くなかった。ボリュームを5分の1ぐらいにしたらまだ面白いかもしれない。

教団本部の建物のイメージができずに困った。大阪万博の住友童話館に似ていると書かれているのでググって調べた。きっとどこかで何となく見て知ってるのかな?と予想してたのだが、これがまったく初めて見る形状の建物だった。

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