2020年2月14日金曜日

北山猛邦「密室から黒猫を取り出す方法」(2009)

北山猛邦「密室から黒猫を取り出す方法」(2009 東京創元社)を読む。前作「踊るジョーカー」が面白かったので引き続き「名探偵音野順の事件簿」を読む。5本から成る短編集。順番に読んでいく。

「密室から黒猫を取り出す方法」
自殺に見せかけ上司を殺した犯人目線。部屋を密室にする直前に黒猫が入り込んでしまうというハプニング。
無能警察は自殺と断定し完全犯罪は達成されたかに思えたのだが、作家白瀬とひきこもり探偵音野は犯人しか知らない証拠で罠をかける。

そこそこ面白かったのだが、10歳の女の子が考え出した別館3階から猫を脱出させるトリックがそんなバカな!?感がする。

「人喰いテレビ」
バンガローで目撃されたテレビに人が吸い込まれる事件。そして片腕を切り落とされた上半身裸の死体。これは真相にそんなに驚けなかった。

「音楽は凶器じゃない」
5年前に高校の音楽室で起こった強盗殺人?音楽教師が殴り殺され、一緒にいた生徒も重症。
音野は一緒に倒れていた生徒が犯人だろうと指摘するのだが、凶器はどこにもなかった。
アイデア一発短編だが凶器にそれほど納得できなかった。「踊るジョーカー」と似たテイスト。

「停電から夜明けまで」
停電を利用した遺産目当ての父殺害計画。そこに音野兄がいて、探偵音野と白瀬がやって予期せぬ事態。
とある失敗から計画がバレるのだが、その理由が予想を超えていた。

「クローズド・キャンドル」
屋敷の主人がキャンドルで囲まれた円卓の上で縊死している状態で発見され自殺と処理された。だが、密室殺人では?
自称名探偵が現場に介入してくるなどコミカルな展開。なぜか白瀬は事件の謎を解かなければ3000万円要求される事態に。
これも物理トリックアイデア一発勝負。こういうの、自分はあんまり好きでない。

以上5本のすべてがアイデア1本のシンプルな謎解きでライトな短編。こういうの小中学生は好きだろうと思うが大人の読者には物足りないかも。
白瀬と音野のコンビが現実離れしててマンガ的。深夜ドラマの原作にぴったりな気がする。

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