2019年12月21日土曜日

アガサ・クリスティー「死の猟犬」(1933)

アガサ・クリスティー「死の猟犬」を小倉多加志訳の早川文庫版で読む。私的クリスティマラソン57冊目。
THE HOUND OF DEATH by Agatha Christie 1933
12本からなる短編集。

表題作「死の猟犬」は、第一次大戦中のベルギーの村で修道女がドイツ軍を謎の爆発で吹き飛ばす。焼け残った壁には猟犬の形をした焼け跡が…。
これ、今まで読んできたあらゆるクリスティ作品とも違う作風。たぶん超常現象。
幻想怪奇小説というジャンル?本格ミステリーと違って合理的で納得できる結末が用意されていない。

12本すべてに感想を書こうと思ったけど、断念。各話読み終わっても特に感想もないし、どんな話だったかも忘れてしまうw 
心霊怪奇現象とか予知能力とか、多重人格とかサイコパスとか、読んでいて困惑しかなかったw
へえ、クリスティにはこんな作品群もあるんだ…というのが正直な感想。

この一冊の注目点と言えば、戯曲として名高い「検察側の証人」の小説版が収録されている。
自分、高校時代に戯曲版は読んだことあったけどもうほとんど忘れている。この短編は英国の一事不再理原則がキモとなっていた気がする。それについて、あの女が一切説明しない。しかし、こんなトラップみたいな証人をつかまされた検察はショボすぎる。

あと、個人的に、伯母の遺産を狙って策に溺れた青年が主人公の「ラジオ」という短編が、ちゃんとオチがあって秀逸。
あと、「青い壺の謎」もちゃんとわかりやすいオチがあって読み終わって満足できる。この2作はクリスティの短編推理小説と呼んでかまわない。

「第四の男」「SOS」は最後がちょっと意味が解らなかった。「翼の呼ぶ声」だけは他と毛色がまったく違う。できることなら映像で見たい。

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