2019年12月22日日曜日

アガサ・クリスティー「火曜クラブ」(1932)

アガサ・クリスティー「火曜クラブ」を中村妙子訳ハヤカワ文庫で読む。クリスティマラソン58冊目。
THE THIRTEEN PROBLEMS by Agatha Christie 1932
文庫では「火曜クラブ」というタイトルになってるけど、全13話からなる短編集の第1話が「火曜クラブ」。

老婦人ミス・マープル、甥レイモンドくん、元警視総監ヘンリー・クリザリング卿、女流画家ジョイス・ランプリエール嬢、牧師ペンダー博士、弁護士ペザリック氏の6人が、毎週火曜日に集まって、とっておきの「迷宮入り事件」(すでに真相は判明してる?)を1人が1話ずつ披露する、大人たちの世間話全6話。

そのどれもが、編み物しながら話を聴いていたミス・マープルが人間観察力と経験則で犯人を言い当てる。これがマープル婆さん無双。

そして、マープル&クリザリング卿だけ同じで、今度はセントメアリミード村のバントリー大佐夫妻、ロイド医師、頭の弱い美人女優ジェーン・ヘリアの6人になる。短編6本。

そして、マープルの進言によって実際に解決した事件をプラスして全13話になっている。

短編なので、どれもが適度に薄味で展開が速い。だが、ここまで読んで「火曜クラブ」がクリスティ女史の短編集として一番人気で「珠玉の名作短篇集」と呼ばれる理由が分かった気がした。

個人的に気に入ったのは以下
第3話「金塊事件」世間を知らないレイモンドくんをたしなめるマープル婆さんが事件を根底から覆す。クリスティらしい。

第4話「舗道の血痕」ちょっと「白昼の悪魔」を想わせる海水浴場殺人事件。

第5話「動機対機会」遺産めぐる殺人。弁護士が保管していた遺言状が白紙とすり替えられている?!動機はあるけど機会がなかった者、動機はないが機会があった者、どっち?マープル婆さんは「じゃあ、どっちでもない」結論。

第8話「二人の老嬢」これもすごくクリスティらしい。

第12話「バンガロー事件」話し手が頭悪すぎてぜんぜん理解できん!という事件で新機軸。
第13話「溺死」村で起こった身重娘入水自殺事件の意外な真相。これもクリスティらしい佳作短編。

どれも30分ドラマシリーズに向いている。日本に置き換えてドラマ化してほしい。

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