2019年11月29日金曜日

蜷川実花「さくらん」(2007)

蜷川実花監督の「さくらん」(2007 アスミックエース)を今になってやっと見る。

これを見ようと思った理由の一つがロケ地。幸手市の権現堂堤に初めて行った時、この映画のロケ地だと知った。以来10年以上経った。

主役が土屋アンナという時点で可笑しい。この顔で花魁というのがインパクト。口の悪いヒロイン。話し言葉が現代っぽい。

この作品のテーマは「性」そのもの。江戸時代の美人はだいたい16歳17歳。そんな年代の少女が石橋蓮司、市川左團次といったじじいたちに性商品として扱われる。都条例とかどうなってる?

女将が夏木マリ。「おまえかい?新しく来たってのは」
養女には源氏名がつけられる。「今日からおまえはきよ葉だ」どうしたって「千と千尋の神隠し」を連想。

反骨ヒロインの幼少時代を演じた小池彩夢という子役は2013年14年ごろを最後に芸能活動をしていないようだ。
金魚鉢越しカメラが襖の奥で男とまぐわう菅野美穂の裸身と、それを見つめる子役を映す。こういうのはデリケートな問題になりそうなので、たぶん一緒に撮影はしていない。
そして、この映画には乃木坂46の現エース齋藤飛鳥が子役時代に出演している。吉田里琴(現 吉川愛)と一緒に花魁菅野美穂の禿(かむろ)役。セリフはないが役名はある。エンドロールにもちゃんと名前が記載されている。ということは、齋藤飛鳥と吉川愛は知り合い? 

女郎たちの顔肌が黄色い。自分は勝手に白粉で真っ白だと思っていたので意外だった。女湯シーンはちょっと驚いた。
花魁の菅野美穂、木村佳乃は以前から顔が浮世絵っぽいと思ってたのでイメージぴったり。グロテスクな怪物で妖女。
江戸の男たちの顔が写楽のように滑稽。一瞬だけ庵野秀明忌野清志郎が映ってびっくり。永瀬正敏も出てて小泉今日子もワンシーン出演。
格子窓の外側にいる町人たちは握手アイドルに群がる男たちそのもの。アイドル評論家みたいな男もいるw
安藤政信は現代的なハンサム。そうか、女郎の子ならハンサムになるだろう。

この映画の世評は高くはないようだが自分は楽しめた。土屋アンナはこの作品を代表作として胸を張っていい。リアリティなんて最初から期待してないし、江戸時代の遊女の常識とか考え方が現代人にイメージできるはずもない。

音楽は椎名林檎。花魁道中シーンでヴァイオリンやエレキギターが鳴く。
権現堂堤の桜並木と菜の花は日本の宝とでもいうべき風景。

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