2019年8月28日水曜日

A.ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」(2018)

昨年話題になった一冊に「カササギ殺人事件」(山田蘭訳 創元推理文庫 2018)という本があるので読んでみる。たまには最新の推理小説も読んでみる。
MAGPIE MURDERS by Anthony Horowitz 2017
タイトルがヴァン・ダインっぽいけどこれはアガサ・クリスティーオマージュらしい。クリスティ作品を調べているとAmazonオススメによく上がってしまう。

上巻の最初からいきなり名探偵アティカス・ピュントの人気シリーズの最新刊!新聞各紙評論家が絶賛!というていの架空の本(書の中の書)を読ませられる。これが長大。

舞台は1955年の英国サマセット州の田舎サクスビーオンエイヴォン村。とある屋敷の家政婦が亡くなり葬式の準備中。 パイ屋敷の当主夫妻、妻の愛人、村の医師、家政婦の息子、その婚約者、村中がザワザワしている。

この本の中の本の主人公はギリシャ系ドイツ人難民の老人ピュント氏。この人がこれまで数多くの難事件を警察と協力して解決してきた名探偵。設定がポアロに似てる。

コードに足を取られて階段から転落死した家政婦メアリの息子ロバートの婚約者ジョイがピント氏のアパートメントに相談にやってくる。村人から犯人だと疑われている!どうしよう?

この探偵が手術で取り除けない脳腫瘍があり、医者から余命三か月の宣告。いろいろ終活するつもりだったけど、事件の捜査に乗り出す。なんか、すごく地味な人間ドラマっぽい。

50年代英国の田舎の貴族の屋敷が舞台。何も働いていない当主と妻、家政婦、庭師、村人たち、という登場人物。たしかにアガサ・クリスティーっぽい映像が頭に浮かぶ。だが、それほど文体と語り口は似ていないように感じた。

やがて当主のマグナスが中世の剣で頭部を切り落とされた状態で発見される!
やっぱり遺産相続問題なの?古代ローマのコレクション盗難事件?この屋敷で家政婦と夫の息子兄弟の弟が池で溺死するという暗い過去も判明?!なんか、古典的英国ミステリーっぽい。
だが、結末が欠落している。いきなりバッサリ終わる。

下巻は急に現代へ。クリスティの時代からiPhoneのある時代へ。
「カササギ殺人事件」の著者アラン・コンウェイが自殺したらしい。出版社のボスと編集者がザワザワしてる状況で始まる。

編集者スーザンが下巻の主人公。人気作家の原稿がこの状態では出版できない。原稿とかデータとかどこかに残されていない?アランの秘書、弁護士、姉に話を聴きに行く。
状況を知るうちに、アランは殺害された?!という疑惑が深まる。

この作品は作家の死と、作家の残した推理小説の二重構造の謎解き。2作品を同時に読んでいるような感覚。
下巻は読んでる途中ちょっと退屈。長くてすでに上巻のことを忘れてしまってるw

この作品は途中で読むのをやめようかと思ったほど地味展開。冗長さを感じた。それほどの驚きもない。英国ミステリーと映画ドラマの愛好家に向けた一冊だったかもしれない。
面白さと退屈さが同居し相殺。結果、自分的には70点ぐらい?の出来だったように感じた。

この本はたくさん売れたらしい。2018年9月に発売され、自分が読んだものが2019年1月の第8刷。おそらく今後、BOの100円棚にたくさん並ぶ予感がする。

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