2019年8月14日水曜日

アガサ・クリスティー「死への旅」(1954,1955)

アガサ・クリスティー「死への旅」を高橋豊訳1977年版ハヤカワ・ミステリ文庫で読む。
クリスティ女史による国際スパイスリラー。自分にとってアガサ・クリスティー48冊目。
DESTINATION UNKNOWN by Agatha Christie 1954,1955
世界的に有名な原子物理学者ベタートン氏がパリでの会議に出席した後に失踪。東西冷戦中の欧州では科学者の失踪が相次いでいた。
英国情報機関は共産諸国側の手によるものと疑う。
やがてベタートン夫人がモロッコへ休養に出かけるのを怪しんでマーク。英仏の情報部が協力体制。
だが夫人は飛行機事故に遭遇し病院で死亡。「ボリスは危険」という言葉を残して。

幼子を亡くし夫に棄てられ生きることが嫌になったヒラリー・クレイヴェンは睡眠薬自殺を図るものの失敗。英国情報部のジェソップ氏に救われるも、ベタートン夫人になりすましてモロッコ旅行を続けることを説得される。たぶん最終的に死ねるよ!w

米国人、英国人、フランス人、世界を金で支配する大富豪などが次々に登場。
アメリカ夫人たちと飛行機で移動中、乗っていた飛行機が墜落炎上し全員死亡したことにされる。実は乗客全員が亡命希望の科学者たち?
やがてアトラス山脈の南の砂漠の中のらい病院施設へ連れていかれる。ここがまるでカルト教団施設のよう。

そこでトム・ベタートンと対面するのだが、あれ?写真で見たのと顔が違う?!

これ、今まで読んできたクリスティ女史の全作品とは毛色の違う作風だと思った。ちょっと支離滅裂な印象すら受けるスパイ小説。

それでも読んでいて退屈せずページをめくれた。いちおうラストで意外な真相も明かされる。ラブロマンスもある。ハードボイルドを予感させたけど誰も殺されない。
人によってはダメなクリスティーという判定をしているようだが、自分はなくなかった。そこそこ面白かった。

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