2019年3月27日水曜日

エラリー・クイーン「チャイナ橙の謎」(1934)

エラリー・クイーン「チャイナ橙の謎」を読む。井上勇訳の創元推理文庫1960年版で読む。
相変わらず訳が古い。角川の越前新訳が出て、この版は人気と価値が低下しているようだ。
THE CHINESE ORANGE MYSTERY by Ellery Queen 1934
これ、発表当時ニューヨークタイムズ紙で「EQ最大の傑作」と激賞されたと書かれているけど、今日それほど有名になっていないし、あまり評判も聴かない。

ニューヨークのホテルの22階の出版業個人事務所を訪ねた誰も知らない中年男が、待合室で頭を火かき棒で殴られ死亡してる事件。

事務所のカーク氏と友人のエラリーくんが現場に出くわして捜査開始。あれ?衣類が前後さかさまになってる!?部屋のあらゆるものが前後さかさまにひっくり返されている!
一体なんのために?

被害者は直前に部屋に置いてあったフルーツ鉢から蜜柑をとって食べていた?ネクタイだけが紛失してる?
ホテル住まいの一族には中国帰りの作家や中国切手のコレクターもいる。中国との繋がりが?

おなじみの刑事たちのグダグダ捜査と聴取の末に、ページが残り少なくなってやっとエラリーくんの真相開示独演会。

だがやっぱり恐れていた通り、密室トリックがよくイメージできないw まるで横溝の「本陣殺人事件」。こういうの、誰かCGアニメかGIF動画にしてくれ。

物理トリックはドヤ顔で「すごいだろ?」って言われても、画を想像できないとどうしようもない。せめて簡単に図解してくれ。てか、内側からかんぬきをかけるだけなら、もっとシンプルな方法もあるだろ。

犯人はあいつだろうと思っていた。エラリー くんはどうでもいいことにこだわってしつこく話を聴いて回るけど、こいつだけ極端に情報が少ない。
それにこれ、「アクロイド殺し」的問題を含んでいないか?

EQ国名シリーズは国名と内容がまるで関係なかったりすることが多いのだが、今作はそれが鮮やかに結びつくラストだった。

だが、自分として評価できるのはそれだけ。服があべこべだった理由も日本人には「ふーん、そう…」って感想しかない。

結局、これまで読んだ国名シリーズ中、最低点。自分はクリスティに傾倒しつつある。

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