2019年1月8日火曜日

横溝正史「呪いの塔」(昭和7年)

横溝正史「呪いの塔」の昭和51年角川文庫版(昭和56年第13刷)を手に入れた。100円。

茶色い地に夏の草花という旧角川文庫でなく、オレンジ色に雲の銅版画のような新角川文庫なのだが紙はだいぶ酸化してて汚い。
これを手に入れて約1年、以後全く黒背表紙緑文字の横溝正史角川文庫でまだ持っていないものに出会えていない。

自分、杉本イラスト版がそれほど気に入ってないので、どうしても読みたいものがある場合は新刊で買おうかと思ってる。(もう読みたいものもそれほどないけど)
この作品は「呪いの塔」というタイトルに惹かれて買った。

巻末の解説によれば昭和7年8月に刊行された「新作探偵小説全集」第10巻が初出?
横溝が博文館を退社した30歳のころの作品。軽井沢が舞台。
表紙イラストのように当時の人々はプライベートではほぼ着物(夏が舞台なので浴衣)姿に下駄。

雑誌編集者の由比耕作は付き合いのある探偵作家・大江黒潮の招きで軽井沢の別荘を訪れる。汽車で泥酔した奇妙な男と出会い、人力車夫からは大江の別荘での「恋愛合戦」の件で軽井沢の町では悪い噂でもちきりという話を聴く。

登場人物は探偵作家とその妻、雑誌編集者、作家のブレーン、裏の家に独りで住む若い婦人、映画監督、活動役者(映画俳優の昔の呼び方)、女優、大学生、塔の門番、男爵、4本指の男…。

別荘の近くにある謎の塔。木造で迷路階段がめぐらされ、おまけに観覧車までついている。こいつが自分の想像力ではまったくイメージできない。ここで殺人事件が起こるし捕り物とドタバタが起こるのだが、やっぱりまったくイメージできない。

事件を捜査する警部が八の字髭で高圧的で怒鳴るので、まるで市川崑版の加藤武のイメージそのもの!

調べてみたらこの作品は江戸川乱歩「陰獣」オマージュらしい。探偵作家が大江なのも同じ。途中から記者が加わって調査。

犯人は3人の男を殺し塔から転落死。一件落着…というのが第1部「霧の高原」編。

そして第2部「魔の都」編で舞台は東京(この時代、東京といったら浅草六区)へ。ここから大江黒潮のブレーンだった白井三郎が主人公になる。

これ、読んでいて確かに面白かったのだが、構成を美しく感じない。傑作とは言えないと思う。実際有名にもなっていない。あまりオススメもできない。
真犯人があいつじゃなくアイツだったらもっと面白くなってたかもしれない。

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