2018年12月17日月曜日

司馬遼太郎「国盗り物語」第1-2巻 斎藤道三 編(1967)

司馬遼太郎「国盗り物語」(新潮文庫版)がそこに4巻そろっていたのを昨年の夏に見つけて購入した。1冊100円。買っておいたものをやっと読み始めた。

まず第1巻と第2巻斎藤道三編。これを書いていたとき司馬遼太郎は41歳か42歳のころ?

自分、もともと戦国武将に何も詳しくなかったのだが、ここ10年ちょっとNHK大河ドラマで少しずつわかってきた。
だが、斎藤道三は名前は知っていてもほとんど何もイメージできない。ドラマで見たことがないからw 

斎藤道三という美濃の覇者について歴史小説で学ぼうと読み始めたのだが、この「国盗り物語」はかなりライト。

日蓮宗の坊主から乞食に転落した松波庄九郎こと若き日の斎藤道三。荒れ果てた京都の築地塀に腰かけ星空を眺め「国主になりたい」と夢見る場面から始まる。

頭がよく眉目秀麗で自信とやる気に満ちた庄九郎は立身出世を目指す。こいつが僧門にいたもんだから口が達者。まるで「居残り佐平次」か「コンフィデンスマンJP」の世界。多少疑問に思っても喋りで有無を言わせない。
せこくてスケールの大きい詐欺。たぶんぜんぜん歴史的事実じゃない大娯楽作。

京都の油商人の大店の後家を落とすための深慮遠謀。前半がひたすら「そんなバカな」というエロラノベでびっくり。これ、10代の女の子とかに読ませられないw 
だがそのエロ表現がはぁ~っと声をあげて感心する上手さ。それにテンポが良い。まったりと濃厚でいてしつこくないw さすが文豪だ。

奈良屋に入り婿し経営者として才覚を表し商売繁盛するも、油販売の独占権を持つ山崎八幡の勢力ににらまれ廃業。新たな屋号で再スタートするウルトラCで奈良屋の身代を乗っ取る。

だが、腐った将軍家の徳政令で嫌な気分。権力も兵も持たない商人は窮屈だ。
店は番頭と従業員に任せ妻も残し単身で美濃へ。土岐氏が腐りきってる美濃は乗っ取るのに好都合。

京都と美濃を行ったり来たりの庄九郎。どんどん出世して国主土岐頼芸に取り入っていく。京都の夫人の元へ帰るたびに違う名前になっている。
京都では油屋、美濃では反庄九郎派との戦いの日々。そして守護職土岐頼芸すらも追放し美濃の新国主。美濃の蝮と呼ばれる。

やがて尾張の虎・織田信秀との合戦。すべてにおいて完勝。
だが気づくと人生も終わりのころ。将軍になって京都へ戻る夢を諦める。
娘・濃姫と織田信長の縁談というところまでが第2巻。

自分、斎藤道三という人物についてほぼ初めて読んだのだが、楽市楽座という制度は道三が始めていた。知らなかった。信長が「敦盛」を舞うのも道三の影響?
それに何よりもこの人の人生がちょっと信じられない映画のようなもの。ま、ほとんどフィクションだろうけど。

「国盗り物語」はこれまでに読んだ司馬遼太郎作品の中でもかなり面白いほうの部類。つづいて3巻4巻の織田信長編を読んでいく。

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