2018年9月15日土曜日

赤川次郎「マドモアゼル、月光に消ゆ」(2001)

赤川次郎が1冊だけ友人の本棚にあったので手に取った。それがこの本「マドモアゼル、月光に消ゆ」(2004年 集英社文庫)だ。あまりにピカピカで読まれた形跡のない本なのでめくってみた。

赤川次郎という作家の本は18歳を最後に1冊たりとも読んでいなかった。赤川次郎、西村京太郎、内田康夫の3作家の本は、人生においてもう2度と開くことはないだろうと思っていた。

南条姉妹シリーズの第5作という位置づけらしい。いきなり5作からよんで大丈夫か?とも思ったけど、何も問題ない。キャラの説明は十分してくれる。

お正月にテレビで見るような、2時間娯楽映画の脚本のような、面白ドタバタ喜劇スリラーだった。

資産家一家の双子の姉妹の姉・麗子の小学生の娘の修学旅行がなぜかドイツに決定。保護者として一家がドイツを観光し、ネオナチギャングに誘拐され銃撃戦…という、いろいろとリアリティ無視のラノベ小説。ま、自分の赤川次郎イメージそのものの1冊だったわ。

おや?と思うのがこの本の構造。双子の妹ヒロイン美知は探偵裏稼業のようなものをやってる? 所々で中学2年生のとき体験した冒険譚を、姉の夫であるケンに話す。

優しかった先生が自殺未遂を起こして学校を辞めたと思いきや、実はヤクザの女組長になっていた。
14歳だった美知が先生に代わって腹違いの兄を探すのを手伝う…という、これも赤川次郎イメージそのものなストーリー。劇中劇がメインのようになってる。

これ、おそらく10代がメインターゲットになってる?文体がとても平易で1ページあたりの活字数がすっごく粗w 
中学生に読書習慣をつけさせる目的にはいいかもしれないが、内容は人がたくさん死んだり意外にハードボイルド。

会話は軽妙で軽いという、やっぱり赤川次郎そのもの。1日でささっと読み飛ばせる。

たぶん人によっては面白い。きっと人によってはクリスティも横溝正史も、司馬遼太郎も、おそらく南総里見八犬伝もラノベ。赤川次郎はさらにライトなラノベ。

自分、今まで赤川次郎を避けてた。たぶん今まで読んだのが通算4冊ぐらい。おそらく、もう赤川次郎を開くことはないかもしれない。
赤川次郎の本はあまりに膨大。だが50年後、この作家の本は日本人に読まれているだろうか?

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