2018年8月14日火曜日

半藤一利「日本国憲法の二〇〇日」(2003)

半藤一利「日本国憲法の二〇〇日」(2003)を文春文庫版で読んだ。友人の本棚から借りて。
これ、憲法学の学術書ではない。半藤氏が向島区で空襲の生死をさまよい長岡へ疎開していた中学生の時期、昭和20年3月から昭和21年2月までにあった終戦直後の歴史トピックの柔らかい総解説。

議事録、新聞記事、ラジオ、政治家や侍従といった人の日記だけでなく、著者の父親との会話や、大佛次郎、高見順、山田風太郎、斎藤茂吉、永井荷風といった多くの人々の日記を引用し、日本人たちがそのときどう感じたか?正直な気持ちを書き綴る。

教科書では教えてくれないリアルな終戦直後史。初めて知ることがたくさんあった。

この本の最大の山が新憲法成立の経緯。近衛公がマッカーサーから裏切られ、松本委員会の憲法改正試案に対してGHQ案が突きつけられる。ここ、白洲次郎の本でも読んだ日本史の劇的で重要な一場面。

ただ現在の憲法下で育った自分からすると、当事者たちが蒼白になるほどまでに国体護持にこだわったのか?がそれほどよくイメージできない。我々には旧体制の人々の感覚があまり理解できない。

半藤氏がこれを連載していた当時は日本国憲法がアメリカから押し付けられた憲法だから日本人の手で新憲法をつくろうという機運が高まった。それは現政権までつづく。
べつに憲法改正なんてほとんどの日本人が望んでいない。半藤氏も「押しつけ憲法」という主張を一笑に付す。

1 件のコメント:

  1. 歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

    読み通すには一頑張りが必要かも。
    読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
    ネット小説も面白いです。

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