2018年7月13日金曜日

宮崎駿「死の翼アルバトロス」「さらば愛しきルパンよ」

ほんとにいい時代になった。家のパソコンで子供の頃に見たものがだいたい見れてしまうのだから。世界的アニメの巨匠宮崎駿が監督したルパン三世(第2シリーズ)から2作を、子どものころ以来ぶりで見た。

自分、宮崎駿の長編アニメ映画をぜんぜん見ていない。「ナウシカ」「ラピュタ」は何度も見たけど「魔女の宅急便」はそれほど見ていない。「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」はまだ見てすらいない。宮崎駿どちらかというと偏屈な変わり者老人というイメージ。
だが、「ルパン三世カリオストロの城」「未来少年コナン」だけは本当に大好き。

そして宮崎駿が監督した「ルパン三世」第2シリーズからの2作は大傑作。たぶん今見ても大興奮。テレビアニメのルパン三世はどちらかというとばかばかしい子供だまし作品でだらだら見るものだと思っているのだが、この2作だけはすばらしい。やはり宮崎駿は偉大。

まず第145話「死の翼アルバトロス」はいきなりルパン次元五右衛門がすき焼き食ってるシーンから始まるのだが、これがもう「ルパン三世」の世界観からかなり逸脱しててすっごく違和感w ルパンとその一味は世界的大泥棒なのに、まるで貧乏大学生の寮みたいな画になってる。肉なんて高級な店でステーキをいくらでも食えるだろ。

突然この部屋に峰不二子が乱入して不二子を追いかける謎の一団とマシンガンを打ち合う。鍋の中から不二子が残した謎の発火プラグ。
このシーンはまるで「カリオストロの城」でのルパンとクラリスのファーストコンタクト。宮崎監督はこうやって主人公とヒロインを突然出会わせるのが好きなんだな。
これは何?真剣に考えるルパンが手にしているものは計算尺?自分、計算尺というやつを一度もさわったこともない。「アポロ13」でもNASAの管制室にいるエリートたちが計算尺を胸ポケットに入れていたりしてた。計算尺にちょっと憧れている。欲しい。使い方をマスターしたい。
小型原爆を製造し世界中で販売する夢を持つマッドサイエンティスト博士に拉致され人質になった峰不二子。「発火プラグをどこへ隠した?言え!」すっぽんぽんにされる。これ、子どもの頃に見て、なんてことを…と思った。(ひょっとするとこの時代に大ヒットしていたエマニュエル夫人という映画の影響か?)
この峰不二子は長澤まさみに演じてほしいw

ちなみに、峰不二子が下半身をまったく隠そうとしない件について、宮崎駿は女性スタッフから抗議を受けたので赤いテーブルクロスをスカートにした…という話を昔なにかの本で読んだ記憶がある。一流の映画監督はたいてい一流のエロじじい。
アルバトロスが飛び立つシーンは「未来少年コナン」でギガントが飛び立つシーンを連想。このシーンを見て巨大飛行艇というものに憧れた。
このシーンで流れる荘厳な音楽はサンサーンス作曲の交響曲第3番のオルガンが流される終楽章パート。自分、この曲が大好き。
墜落直前に重いものをばらばらと棄てていくシーンは後に「ナウシカ」でも活かされている。

音楽を担当したのは大野雄二という人だ。この人は市川崑「犬神家の一族」でも音楽を担当。「カリオストロ」でも音楽を担当している。
「死の翼アルバトロス」はこれ1本だけ単品で見ても面白いし大傑作。まるで脚本の教科書のよう。今では画に古さも感じるけど、当時としては破格の製作費がかかっている大冒険活劇。
そして第2シーズンの最終第155話「さらば愛しきルパンよ」も観る。
この回のヒロインは小山田マキ。ナウシカ?
こちらも宮崎駿がこの時代に創出したオリジナルな面白い要素がギュッと詰まった大傑作。
東京の見慣れた風景がそのまま出てくるのが当時のアニメとして画期的。街頭モブシーンは手書きセル画アニメの表現として画期的な転換点。
永田重工製ロボット兵器ラムダは後にそのまんま「ラピュタ」でも活かされている。
この回は銭形警部が主人公だったのだが、ラストの新宿高層ビルをバックに飛ぶラムダと、飛び乗った銭形のとっつぁんがルパンだとわかったときの大興奮といったらなかった。
「さらば愛しのルパンよ」というタイトルの通り、自分はこれと「カリオストロの城」以後のルパンとはお別れしたまま。その後のルパンはどれもそれほど見たいと思わない。
この2本をセットにしたDVDとか欲しい。これは手元に置いておきたい作品だ。

「未来少年コナン」は学生のとき全話見て以来一度も見ていない。また見たい。どこかで配信してくれないか。

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