2018年5月17日木曜日

エラリー・クイーン「Zの悲劇」(1933)

エラリー・クイーン「Zの悲劇」を手に入れた。
THE TRAGEDY OF Z by Ellery Queen 1933
実は中学1年のとき「X」「Y」「Z」を読んでいた。当時は三部作すべてオレンジ背表紙の新潮文庫版で読んだ。
「X」「Y」が古典的名作扱いなのに対して「Z」は何も評判を聞かない。面白かったという記憶もない。なので今読まなくてもいいかと思っていた。

だが先日、越前敏弥訳角川文庫(2011年初版)がそこに100円で売られていたのでつい手に取った。新訳だときっと読んだ当時はわからなかったことがわかって面白いかもしれない。

「Z」はだいぶ他の作品と印象が違う。なんと「X」「Y」に登場したサム警部の娘ペイシェンス嬢が主人公。この21歳ヒロインが探偵の素質があって美人で頭が切れる人物。

警察を退職し私立探偵となっているサム元警部と一緒に、大理石採掘会社経営者から共同経営者の不正を証拠を探すべく調査へ出向く。
すると疑惑の共同経営者の弟であるニューヨーク州上院議員が自宅で殺害されているのが発見される。

刑務所内から上院議員を恐喝する手紙を送っていた老人(酒場で喧嘩相手を殴り殺して収監。犯行の日に釈放)が容疑者となる。裁判で終身刑判決。
だが、脱獄した日に上院議員の兄で医者が殺害。今度は逃亡中に逮捕。死刑判決。

どうやらこの作品は死刑執行までに証拠と真犯人を見つけ出さないと!というサスペンス。70歳を超えた名探偵ドルリー・レーンがまったく冴えない衰弱した老人としてそこにいる。右利き左利きを確かめるための面会が、かえって老人被告を不利な立場にする大ミスも犯す。

ヒロインだったはずのペイシェンスは依頼者の息子とのラブ要素や、窓を覗こうとして樹から落ちるなどのおっちょこちょいぶりで笑わせるのだが、後半は存在感がほとんど消えていた。探偵としての素質をなんら活かしてない。だがもしこの子がいなければ老人しかいない作品になってしまうところだった。

みんな仕事でもないのに無実の老人が死刑になるのを防ごうと必死になる。サム親子の依頼人はそれでいいのか?
この本、数ページめくっただけで眠くなってしまい、読むのに1週間ほどかかってしまった。ボリュームに対してそれほど内容はない。

レーン氏が美しい消去法ロジックで犯人を絞り込むのは最後の最後。面白いのはそこだけ。

自分が唯一覚えていたのは「He・ja」とアルファベットが書かれた木箱の木片。こいつが今もよくその姿がイメージできていない。現在は成り上がっている3悪党の宿業と因果とか、乱歩、横溝でもよく見る古典的な要素。古さも感じた。

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