2017年11月15日水曜日

永井路子「炎環」(1964)

永井路子「炎環」(1964)という本があるので読んでみた。1978年刊文春文庫版の2012年新装版第1刷。100円でゲット。
この本は第52回直木賞を受賞している。4作品で4人を描いている歴史小説。

1本目「悪禅師」は源頼朝の異母弟・醍醐禅師こと阿野全成(あのぜんじょう 1153-1203)が、挙兵した頼朝と下総鷺宮で面会するシーンから始まる。

自分、この人物のことをまったく知らなかった。北条政子の妹・保子と結婚し、黒衣の宰相として頼朝政権をサポート。得体のしれない不気味な公家・頼朝との心理と駆け引きのようなものを描いている。

目立ちすぎないようにふるまうのだが、やがて頼家と対立し殺される…。
自分が昨年行った川崎市多摩区の妙楽寺はこの人と北条保子の寺だったんだって、今回調べてみて初めて知った。

2本目「黒雪賦」では梶原景時(1140-1200)を描いてる。この鎌倉武士の名前を知ったのはつい数年前。
石橋山の合戦で頼朝の敵だったのだが、頼朝を逃がして恩を売る。土肥実平の口利きで頼朝の重用を得る。

3本目「いもうと」では北条政子と北条保子の姉妹を描く。保子はかなり天然で明るい女性だったらしい。
だが、政治のことも実はよくわかっていた?やがてその息子も孫も失う…。

4本目「覇樹」では北条義時(1163-1224)を描く。日本史鎌倉時代で必須の大政治家。今年、自分は佐渡で順徳上皇の墓所を見てきたので、「承久の変」で間接的にこの人の名前を知ってる。ちなみに、息子の泰時も大政治家。

自分、小学校中学校時代に習った鎌倉時代の歴史がよくわかっていなかった。源氏三代の将軍家が滅び、北条と御家人たちの血で血を洗う争い。テストに出るからワードとトピックのみ暗記しかしてなかった。やはりこういった小説で読むとイキイキとイメージできる。

0 件のコメント:

コメントを投稿