2016年12月13日火曜日

幸田露伴 「寶の蔵」(明治25年)

幸田露伴(1867-1947)という文豪は名前だけは知っている。だが、まだ一冊たりとも読んだことがない。

 「寶の蔵」(明治25年 東京神田・学齢館)の「ほるぷ初版復刻本」(昭和49年版)がそこに108円で売られていたので買い求めた。
明治時代のこども向け読み物。幸田露伴のWikiを見てみたのだが、この本のことになんら触れられていない。

とある山里に住む翁がこどもたちに 「寶の蔵」という絵巻に様々な面白い話があるから物語って聞かせようという一冊。挿絵の動物が着ている衣装を見る限り中国の昔話か?

内容は平易なのだが、完全な明治時代の文語体なのでかなりとっつきにくい。古文に触れたことのある中学生以上なら読めるかと思う。

全部で15の物語があるのだが、読んでみて驚いた。ひとつたりとも面白い話がないww
ジャンル的には「寓話」と呼ばれるものなのだが、あきらかに江戸明治の前時代的で古臭い軍記物や講談のたぐいに思える。ひとつたりとも現代のこどもたちに語って聞かせるような内容ではない。
説教くさいものもあれば内容がピンとこないもの、殺伐としたものばかり。表現がくどい箇所が多い。何故か最後に動物たちが和歌を詠むw

この時代はアテ字やふりがなが現代とまるで違ってめちゃくちゃ。

カラスが梟を巣に閉じ込めて火をつけて皆殺しにする話とかw、嘘つきの野狐がビリビリに引き裂かれて殺されるとかw、そんな話ばっかり。挿絵も不気味でしかない。自分は誰も読んでない本を見ると読みたくなる性分なのだが、この本はあんまりオススメできない。
ま、明治なかごろのこどもたちがこんな本を読んでいたということは学んだ。

2 件のコメント:

  1. BOKKOFFの復刻・初版本コーナーで、何冊か買っています。当時の作者の情熱とか熱気が伝わるというか、特に宮沢賢治のように自費出版本だと作者に直に触れた感じがします。でも、ほんとうは文庫などに比べて安く手に入るのが購入の理由です。

    それにしても幸田露伴ほど古いと読みにくそうですね。漱石の復刻本『鶉籠』(「坊ちゃん」など3編収録)は分厚くて迫力でしたが、こちらは重すぎて買えませんでした。
    泉鏡花の出した本は皆装丁が美しいようですが、復刻では「日本橋」が出ていて、やはり綺麗な本でした。
    結局、作品自体が面白いのが一番で、いままでだと川端康成「浅草紅団」。昭和初期の不良少女が魅力的でした。それと堀辰雄の「風立ちぬ」は文章の配置(活字組み)と丁寧な製本がマッチしていて、文庫などでは味わえないタイムスリップ感が素敵でした。

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  2. 初版復刻シリーズ、いつもチェックしてます。じつは二葉亭四迷 「浮雲」も買ったのでいずれ感想を書きます。

    今の本にはない味わいが魅力。1,000円ぐらいの値段をつけてる店もあれば、100円で買えたりする。ブームにならないようにそおっと買ってます。

    夏目漱石「我輩は猫である」の袋がカットしてない1冊と、樋口一葉が2冊あったのに買わなかったのを後悔してます。明治20年代は読むのにとても時間がかかります。

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