2016年3月12日土曜日

横溝正史 「悪魔の降誕祭」を読む

懲りずに2冊目の横溝正史。今度は「悪魔の降誕祭」という本と出合った。

相変わらず表紙イラストがキモい。本を買う上で装丁と表紙は重要。なんなのこれ。

でも、こういった本は出合ったそのときに買って読まないと二度と出会えないかもしれないと考え連れ帰った。108円。
自分が手に入れたものは昭和54年の第20版。わりとキレイ。

この本には3作品収録されている。

まず、「悪魔の降誕祭」(昭和33年 オール読物)を読む。この文庫本の半分を占める中篇。

まず、金田一さんの東京の事務所・緑ヶ丘荘で依頼人が毒殺される。ええぇっ!?困ったな…(ポリポリ)。

依頼人はジャズシンガー関口たまきのマネージャーであることが判明。そして、クリスマスにたまきの夫が刺殺。
パーティに来ていた人々のアリバイを調査。動機がありそうな人々はみんな完璧なアリバイがある…。

これ、何も期待していなかったけど…、面白いですやん!
これぞ横溝正史っていう作品。「金田一少年」にそのまま使えそうなストーリー。自分はかなり満足できた。ネタバレになるので詳しく書かないけど、エラリー・クイーンの「~の悲劇」を思わせる雰囲気だった。

事件のカギを握る由紀子16歳は誰がいいかな~♪って考えながら。市川崑カントクならどう脚本をアレンジしてどう撮るかな~♪って想像しながら、ずっと頭の中で映像化して読んでいた。
できることなら舞台は終戦直後の岡山の山奥の村に置き換えたいw

続いて「女怪」(昭和25年 オール読物) こちらは短編。

青年・金田一耕助の経歴を知る上で重要かと思われる作品。
「八つ墓村」でたんまりもらった報酬で、金田一さんが先生と呼ぶ「私」(たぶん若き横溝がモデル)を共に、伊豆の山奥の温泉場Nへ一静養に出かける。

宿で女主人から、東京で政財界に影響力を持つ預言者「狸穴の行者」なる人物の家があることを知らされる。しかも、その家の以前の持ち主は金田一さんが恋慕してる銀座のママの亡き夫のものだった。そして村で墓場荒らしが横行していることも知らされる…。

そして金田一さんから「私」宛てに北海道から届いた手紙は、悲しい恋の結末を告げるものだった…というストーリー。

あれ?これもやっぱりちょっと面白い。作品中に賀川春樹なる人物が出てくるけど、これって角川春樹から?

そして、最後が「霧の山荘」(昭和33年 講談倶楽部)これも「悪魔の降誕祭」と同じぐらいの文量なので中篇。

物語は霧の別荘地でさまよう金田一さんの場面からスタート。舞台はどう考えても軽井沢。なのに地名はK高原だとかN市だとかになってる。
Pホテルで面会した依頼者によれば伯母が、昭和の初めの殺人事件の件で、すでに死んだはずの容疑者を見かけて脅えてる…。
そして伯母の死体が発見される…というストーリー。

あれ?この作品もやっぱり面白い!なんか、時代は感じるけど軽くて読みやすい。この本で横溝正史の個人的評価がアップした。また何か探して読んじゃうかも。

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