2016年2月15日月曜日

井上靖 「氷壁」(1957)

友人の本棚にこれがあったので手にとって読み始めた。井上靖「氷壁」の新潮文庫版。紙が酸化して相当にくたくたになってる。遠慮なくいろんな場所へもって行って読んだ。

自分が井上靖(1907-1991)を読んでみるのは中学生のとき「天平の甍」を読んで以来。以後すっかりこの文豪とは触れ合うことがなかった。井上は伊豆の先祖代々の医家に生まれ、沼津中→九州大中退→京大→新聞記者…という経歴を持つ作家。

たぶん「氷壁」が一番有名な作品だと思う。何度も映画やドラマになっている。

めくり始めてすぐに、あ、これは新聞連載小説だな…って気づいた。とにかく会話が多くて冗長。

そんなこと別にいらないだろって記述が多い。小学生の作文のような、「朝ごはんが鮭だったので、それから箸をつけようかと思ったけど、思い直して味噌汁からにした…」ぐらいの、どうでもいいことまでこと細かくだらだらと書き連ねている。これには何か文芸作品として狙ったものがあるんだろうか。

自分はこの小説を、新田次郎みたいな山岳小説だと思っていたのだが、山の場面は全体の1割にも満たなかった…。
5分の1ほど読んで疑惑サスペンスものか?って思った。だが、最後まで読んでも驚くような展開は何もない。

30代のサラリーマン登山家の若者ふたり、大正時代生まれの人が30代だった時代のトレンディドラマ?読んでいてとにかくドラマの脚本っぽいって感じた。
ラブロマンス、遭難事故、ザイルは切れたのか切れなかったのか?お喋りな上司と元大学教授の重役の会話がひたすらぐるぐる同じところを旋回。読んでも読んでも話が進展しない。

ぶっちゃけかなり退屈した。早く終わってくれって思いながら読んだ。舞台が昭和30年代だけど、読んでいて現代とあまり違いを感じなかった。

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