2016年1月24日日曜日

江戸川乱歩 「孤島の鬼」(昭和5年)

ひきつづき江戸川乱歩を読んでみる。今度は長編を読んでみる。はっきりいって「ビブリア古書堂」を見た影響。そんなにマニアがいるのならたぶん面白いんだろうと。

で、古本屋の100円コーナーで「孤島の鬼」(2009 角川ホラー文庫)を見つけた。本当はもっと味のある表紙デザインのものがよかったけど、読みたいと思った今のタイミングでこれと出合ったので買っておいた。

表紙イラストといいデザインといい装丁といい若者に読んでもらおうという版。
角川ホラー文庫?江戸川乱歩って探偵小説、推理小説の大家じゃなかったっけ?

今まで気にしたことなかったけど、江戸川乱歩って芥川龍之介とほぼ同世代。乱歩は明治27年生まれ。龍之介は明治25年生まれ。
読みやすくなってるけど仮名遣いとか表現とかは大正時代なので、今の中高生が読むにはちょっと難しいんじゃないか?自分も読めない漢字や意味のわからない言葉や表現がいくつもあった。

傴僂という言葉がどうしても読み方も意味もわからず困ったので調べた。「せむし」と読む。あぁ、その言葉の意味はわかる。

この本では大正時代の日本が障害者へどんな眼差しを向けていたがわかる。ほぼすべて「片輪者」という言葉で通している。そういう時代。登場人物は着物姿だし、人力車とか走ってた時代。

表紙イラストの意味は読み終わってからわかった。この本は絶対に映像化が無理だわw だが、後方にある肖像がみたいな二人の大人はなんだ?主人公のふたりか?

この本の主人公「私」(25歳)と外科医の諸戸(30歳)。学生時代からの友人。どうやら二人とも「美形」という設定。事件に巻き込まれるのが「私」(蓑浦)で、謎を解く聡明なほうが諸戸。

だが、諸戸は「私」に好意を寄せている…、つまり、同性愛者。「私」は普通の人。それ、新しいなw べつに笑かすような会話はないけど、なんとなくユーモアは感じる。

前半の3分の1くらいまでは面白かった。密室殺人と衆人監視下での殺人。おそらくミステリーの愛好家たちにとっては古典的となってるトリックなんだろうと思う。

後半、ふたりが乗り込む不気味な「孤島」、そこにある屋敷。これが「片輪者」だらけ。現代の水準では許されない表現だらけ。

そして二人は真っ暗な洞窟をさまよう。あ、「TRICK」に出てくる上田と山田みたいだ。

期待してたほどではないにしても面白かった。大人向けの怪奇小説かもしれないが、やってる内容は「少年探偵団」と大して変わらない。

PS. NHK BSプレミアムで放送された「1925年の明智小五郎」の第2話「心理試験」を見た。かなりぶっとんだ斬新な映像化。

女優が明智探偵を演じるのは史上初に違いない。狂言回しのような明智探偵。

朗読が挟まれるので「紙芝居じゃん!」って思った。今の時代に大正時代を表現するのはとても難しい。細かいところだけど、下宿のトイレとか、大正を感じることができなかった。

主役の菅田将暉がよかった。友人斉藤役の大水洋介もいい感じ。だが、老婆役が嶋田久作ってどうゆうこと?画ヅラで面白くしたかった?全員がコミカル。

自分はやっぱ満島ひかりがあんまり好きじゃない。だって、そもそも可愛くない。(あくまで極私的主観) まさみとか、あおいとか、木村文乃とか、思い切ってばっさーとかで見たかった。

2 件のコメント:

  1. 「心理試験」の元ネタはドストエフスキーの「罪と罰」だそうです。
    満島ひかりの小五郎は前回の方がもう少しまともだった。
    でも前回は、登場人物以外は全部ジオラマでしたが・・・
    次回(今夜の最終回)はどうなることか。
    最後の3人が絶叫するシーンで大笑いしました。

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  2. 自分も3人大笑いしてるシーンで、これは真剣に見なくていいって気づいた…。
    次回は犯人役が柔道の人?!チャレンジャーだわ。

    あ、そういえば老婆を殺してカネを奪う言い訳が何かと同じ、って思ってた。

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