2015年8月12日水曜日

日輪の遺産(2011)

日本人として8月ぐらいは戦争をテーマにした映画でも見るかと、浅田次郎原作の映画「日輪の遺産」を何も知らずつい手にとってしまった。
開始数分見て気づいた。これは「あったかもしれない歴史ファンタジー」だ。

女子高の卒業式、教師・麻生久美子の祖父が亡くなる。夫人・八千草薫の口から語られる恐ろしい秘密と夫の友人・真柴少佐(堺雅人)の想い出。

近衛師団の真柴少佐は電話で陸軍省に来るように指示される。誰にも気づかれないように来い!一室に入ると杉山、阿南、梅津ら陸軍幹部。「日本はまもなく負ける」、山下将軍が持ち帰った財宝をマッカーサーから隠匿してくれ。

また福士誠治と中村獅童が出てる…。代わり映えしないキャスト。

こうやって敗戦後も密名を律儀に守った軍人と、死んでいった哀れな女子中学生たち…ってフィクション。こんな話もあったかもしれないよねって言ってくる、知られざる実話っぽくつくった映画。

生存者八千草薫の子ども時代を演じた森迫永依、この子はかつての人気子役。実写版「ちびまるこちゃん」とか、まさみのロッテ・ガーナのCMに出てたな。

土屋太鳳もこのころから重要な役をまかされていたんだな。自分も真柴少佐のように最初何が起こったのかわからなかった。そうか、あの立ち話はあの距離で寝ていれば聴こえないと思い込んでいたけど、病弱で利発な子は頭も耳も神経も冴えていたのかも。しかも、軍人一家。武門の娘。「死」というものが、家庭において常にそこにあった、という要素が重なってしまったのか。

申し訳ないが、こんな嘘歴史秘話では何も感動できない。まったく受け入れられないしリアリティを感じない。一体誰に向けて作られた?演技をがんばった俳優たち、少女たちには気の毒だが、これは観ないでいい1本だった。

南洋や沖縄戦、広島、長崎、千島樺太、満州、発掘して書かなくてはいけない悲しい歴史秘話は他にもっとたくさんあるはず。糾弾されるべき人間は他にいる。

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