2015年5月13日水曜日

熊井啓 「日本列島」(1965)

社会派の巨匠・熊井啓(1930-2007)の映画を初めて見てみた。
「日本列島」という戦後日本で暗躍したアメリカの謀略機関を追いかける男たちを描いた社会派ミステリー。怒りの告発。116分の全編モノクロ。

キャンプ・スコット、キャメル機関、劇中に出てくる固有名詞がどうやらすべて仮名になってる。フィクションという扱い。
自分はこれまで松本清張の「日本の黒い霧」や「黒い福音」、吉原公一郎の「松川事件の真犯人」、下山事件関連書籍などで得た知識がそのまま映像化されたような作品なので以前から見てみたかった1本。

劇中何度も爆音轟かせる航空機の映像が流れる。会話が中断。沖縄や東京横田基地周辺では今でも日常。

米兵に妻を惨殺された過去をもつ中年男・宇野重吉が新聞記者・二谷英明らと、東京湾に浮かんだ米兵の死体と終戦直後の偽札事件を追う。
寺尾聡のお父さん宇野はこの時点でもうお爺さん。最近の寺尾聡はますます似てきている。自分としては全力で走って逃げる大滝秀治にびっくり。

木造平屋住宅の路地を走る車。女と西洋人。あっ!これ、国際線スチュワーデス殺人事件の一場面?!なんか、このシーン以降しっかり見る気をなくす。
こういった手法ってどうなの?ま、いろんな要素をまぜこぜにした社会派フィクション映画だな。

占領下はともかく、独立後もアメリカに文句も言えなかった日本官憲のヘタレぶりがひどい。いや、ごく近年まで米兵の犯罪の捜査はできてなかったわけだが、警察署まで乗り込んできて外国人たちが捜査資料を奪い去っていくだと?どうしてその場でもっと激しく抵抗しない?

ま、敗戦後の日本を食い物にした不良外国人たちが暴利を得ていたのは事実だろうな。日本にかぎったことじゃないけど。

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