2015年3月4日水曜日

川島雄三 「幕末太陽伝」(1957)

川島雄三(1918-1963)の映画を初めて観てみた。日本映画に興味を持つとこの名前を必ず目にする。45歳という若さで亡くなった天才の代表作「幕末太陽伝」のデジタル修復版がDVDで出ている。もちろんモノクロ映画。

映画の冒頭で売春防止法から1年の品川宿の古い映像が流れる。もうこの街並みはほとんど痕跡を残していないだろう。

この映画は品川宿を舞台に、居残り佐平次の主人公をフランキー堺が演じて、品川心中、三枚起請、お見立て、といった落語から抽出した場面をちりばめて1本の映画になっている。大工調べ、付き馬、もあるのかもしれない。

自分はすべて志ん朝の落語で知っている噺だった。あっ、聴いたことある!っていう言葉が随所に出てくる。脚本に今村昌平が名前を連ねている。音楽は黛敏郎だが劇中はとくに音楽はかかっていない。とにかく出演者が当時のオールスター。

南田洋子は最晩年をなんとなく知っているだけなので、画面で見てもどっちが南田洋子で左幸子なのかわからない。遊女同士のとっくみあいの喧嘩シーンがすごい。周囲の誰も止めないのがひどい。二谷英明はすぐにわかったけど、小林旭はわからなかった。岡田真澄はすぐわかるけど、ひ弱そうな青年で細い。フランキー堺、石原裕次郎、山岡久乃、この映画の出演者の多くがすでに亡くなっている。

口からでまかせ有能社員フランキー佐平次は味方なら頼もしいけど苦手だわ。でも「お見立て」に出てくるしつこいおっさんも嫌。幕末も現代もずうずうしくないと生きていけないようなしょっぱい社会。

一番びっくりしたのが「相模屋のやりて婆」が菅井きんだったこと。この人は信じられないほど昔からすでにばあさんだった!TRICKのときと大して違っていないのが驚異!

会話と展開のテンポが速い。昔の日本人はみんな早口。見ていて理解が難しい。相手の話すことを聴いて咀嚼理解して話していない。間を置くということがない。なんか、一見したところ取りとめがない落語名場面コラージュ。見ていてとても疲れる。置いていかれる。古い落語CDを聴くのと同じぐらいの集中力が必要。

2 件のコメント:

  1. 私の中ではフランキー堺は、子供の頃に観た自由律俳句の山頭火(ラーメンではありませんよ)。早坂暁の脚本で、武満徹の哀切な音楽が耳に残っていました。
    もともとは渥美清が山頭火を演ずることになっていたらしい。駄目人間の悲しみが、フランキーの四角い顔に溢れていいドラマでした。
    「山頭火・何んでこんなに淋しい風ふく」(NHK、1989年)。Youtubeで見ることができます。ビデオから落としたのか映像は粗いけど心に沁みます。ご参考までに。

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  2. 自分は「モスラ」と「喜劇駅前旅館」かな。
    あと、晩年の作品で「写楽」は見てみたいかな。

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