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2015年2月10日火曜日

渥美清 「喜劇急行列車」(1967)

国民的スター俳優・渥美清の主演作を初めて見てみた。「八ツ墓村」は見たことあるけど、あれは金田一さんが見たくて見た。これは渥美清の喜劇を見てみたくて選んだ。

渥美清は上野下谷の出身で板橋の志村に住んでたこともある東京の偉人。「男はつらいよ」シリーズは全48作もあって自分にとってはワーグナーの「ニーベルングの指輪」やプルーストの「失われた時を求めて」に相当する大作すぎて、おそらく死ぬまでに見ることもないだろう作品群。渥美清が30代の国鉄職員を演じた喜劇シリーズの第1作を観てみた。渥美清はどんな役をやっても寅さんだった。

昭和42年に劇場公開された作品だが、今のJRと大して変わってないなと思った。もちろん駅は自動改札じゃないし車両も古いけど昭和40年代だともう今の感じと大して変わりない。新幹線も走ってる。

この映画は東京発長崎行きの寝台列車に乗り合わせた人々を描いた人情喜劇。車内での泥棒騒動とか、心臓手術を受ける少年との交流とか、車内出産とか、エピソードの盛り込み方は今のドラマと体して変わらないのだが、自分を驚かせたのは、今のじいさんは昔からじいさん、今のばあさんは昔からばあさんだったんだなということ。

顔のつくり、表情、動き、会話の内容、喋り方と発声、コミュニケーションの間合い、雰囲気、そういったもののすべてが、まさに今現在の老人たちを見た目をちょっと若くしただけで同じだと感じた。ということは今のギャルたちが老人になったときも、そのまま「ちょーウケるんですけどw」とか言ってる可能性が高い。

会話が落語っぽいと感じた。車内で捕まったスリが居直るシーンは落語の泥棒そのものだった。会話のテンポが相手の言うことを理解して考えてから話していない。この時代は今のように人々が多様化してないので、誰もが理解の範囲内にいたんだろう。

6人掛けボックス席に乗り合わせた新婚カップルと調子のいい男の会話が漫才っぽいなと思っていたら、Wけんじという漫才師だった。Wけんじは2人ともすでに亡くなっているが、この二人こそ東京漫才の始祖といわれる伝説の漫才コンビだった。すごい老人が漫才してる映像をなんとなく見た覚えがある。

この映画のマドンナが佐久間良子。この時点ですでにちょっとおばさん。この時代のお色気シーンは夢オチがお約束?後に水戸黄門になる西村晃がこの時点ですでに老人。まだ主演クラスになる前の大原麗子がメイド役で出ている。30代なのに子どもが4人で「ベテラン産婆」という渥美の奥さん役の人があ~ちゃん似。

ま、自分は爆笑とまではいかないけど、そこそこ面白かった。昭和40年代を感じる1本だった。自分はかつて王子から葛飾柴又まで自転車(ママチャリ)で行ってみたことがある。これが自分の自転車で行けた最長。「男はつらいよ」を1本でも見ていればもっと楽しめたんだろうなと思った。これからの世代は「男はつらいよ」をまったく知らないと思う。門前のみやげ物店の賑わいは寂れていくかもしれない。

3 件のコメント:

  1. 出産は夫婦の絆を戻す分かり易いサイドプロットですが、もう一つの少年の心臓手術はもう少し深いですね。表向きは機関車とのつながり。でも本当は主人公がメインプロットの失恋(ハートブレーク)から立ち直る伏線と見ました。

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    1. 分析が深い。少年の心臓にはそんなメタファーが!

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    2. 汽車を砂撒きで登らせる回想シーンとかこのサブプロットが結構長くて重いのでどうしてかなと思ったまでです。片思いはマイクつけっぱなしで話してしまっても爆笑を誘うだけという男の辛さは、喜劇なのでこの間接話法になったものかと。。。

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