2014年8月25日月曜日

「小泉八雲集」を読んだ

「雪おんな」という人を凍え死にさせる恐ろしい妖怪がいるが、この話の舞台はなんと東京西多摩郡調布村(現在の青梅市)だった!
それを知ったのは数年前にたまたま多摩川の大きな橋を渡っていたとき。そこにあった碑文で知った。え?!北陸とか東北とか雪国の話じゃなかったの?

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン 1850-1904)はアイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれ、英、仏、米と流浪し、松江、熊本、神戸、東京と日本に住み着いた人。

「怪談(Kwaidan)」が特に有名だが、霊の国、日本に魅せられ、多くの超自然的でオカルト的な霊体験話を海外に紹介するために書き留めた。今回初めて小泉八雲の本を読んでみた。上田和夫訳「小泉八雲集」(新潮文庫)がそこに108円であったから。

「影 Shadowings」「日本雑記 A Japanese Miscellany」「骨董 Kotto」「怪談 Kwaidan」「知られぬ日本の面影」「東の国より」「心」「仏陀の国の落穂」「霊の日本にて」といった著作を収録した1冊。英語で書かれたものを現代文で翻訳したものなので、なにも難しい単語や表現がない。すらすら読める。

怪談話はどれも短い。「耳なし芳一のはなし」は子どものころに読んで以来で知っていたのだが、あとは「そいつはこんな顔だったかい?」と顔をみせるとのっぺらぼうという「むじな」しか知らなかった。「ろくろ首」という話は予想と違っていた。どれも他人に語りたくなるほどの話じゃない。1ページほどで終わる話もある。「遠野物語」と雰囲気が似ている。

「日本雑記」の中の一遍「破られた約束」という話は子供の頃よく聞いた怖い話によくあったパターン。愛し合っていた夫婦の若い妻が死ぬ。遺言によって鈴を持たせて庭に埋める。後妻の枕元に鈴の音が聞こえるようになって…という恐怖体験。

中世から江戸、明治と広範囲に渡って伝え聞いた話を書き残している。結末が失われてしまったり、話が破綻しているものまで、ツッコミや解説を入れながらエッセイ風に書いたものが多い。

「日本人の微笑」は有名な日本文化論。開国直後から日本人の意味不明な謎の微笑に対して、外国人はかなり戸惑っていて文化摩擦を起こしていたことがわかる。西洋人にあいまいな微笑で接するのはやめようと思う。

そして、日本といえば心中と情死の国。この時代の外国人は日本人の若い男女がふたり一緒に命を絶つ事件に深い関心を寄せていたようだ。「赤い婚礼」という作品はワイドショー的心中事件小説。

あとは日本の因習だの、芸者の人生だの、牡丹灯篭だのを紹介する内容。明治日本の古臭い三面記事。当時の人々の様子はわかるけど、それほど面白いわけでもない。近代国家へと生まれ変わる日本から抜け落ちていくものを必死に受け止めて書き残そうとした熱意は感じた。

江戸明治の人は「恋わずらい」が多かったんだな。落語の世界でもそうだけど、一目ボレの対象はたいてい15歳か16歳。この時代の「いい女」は現代よりもかなり若い。17歳が結婚適齢だった時代だからか。

2 件のコメント:

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    ロミオ16歳、ジュリエット14歳
    野菊の墓 政夫13歳、民子15歳(実年齢)
    たけくらべ美登利14歳 伊豆の踊子14歳
    ホットロード宮市和希14歳
    雨音薫16歳 
    若いっていいな。「恋わずらい」したかったな。

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    ため息つくほど恋煩いはまさみだけ。
    一番最近の一目惚れは松井愛莉w

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