2014年8月11日月曜日

中田永一 「くちびるに歌を」(2011)


長崎・五島列島の「比較的大きな島」を舞台に、産休に入った顧問の代わりにやって来た美人音楽教師と中学生たちが、「手紙 拝啓 十五の君へ」でNHK音楽コンクールに挑む本。

これは読みたかったというよりも、108円でそこにあったのと、中田永一なら面白そうだという期待で手に取った。オビには「あだち充氏絶賛」とか「本屋大賞ノミネート!」とか、各書店員推薦のコトバが並ぶ。

あっという間に読んだ。自分も中学生のことを思い出したりしたのだが、それほど刺激はうけなかったし面白いというわけでもなかった。

自閉症の兄を持つひ弱な少年、父親失踪の少女など、それぞれ家庭の事情を持った子ども目線で書かれているヒューマンドラマ。注意して読まないと誰が誰だかわからない。

中学生なら楽しく読めるかもしれない。五島の人や諫早文化会館を知っている地元の人なら楽しいかもしれない。補助金で作る地方文化振興の映画の原作には向いていそうだ。

東京からやってきた五島出身元ピアノの神童で自称ニートの美人教師に注目したいのだが、脇役に過ぎない。この人をヒロインにしたほうがオトナが読むには面白くできたかと思うのだが。

15歳の中学生たちが15年後の自分に宛てた手紙が本文中、唐突に挟まれる。ラスト付近の主人公の少年の手紙はけなげで涙を誘うかもしれない。その手紙を好きなあの娘に読まれてしまう!

五島列島出身というと自分は川口春奈しか思い浮かばない。川口の五島での生活をイメージながら読んだ。川口もきっとこの本に登場する中学生のように、フェリーで佐世保へ渡ったりしたんだろうと思う。

それにしてもNHK音楽コンクールに課題曲を書くということはとてつもない仕事だと改めて思った。中学生はその曲を大人になってもずっと忘れないだろう。

PS. 読み終わってからガッキー主演で映画化されるということを知った。ということは、ガッキー美人音楽教師が主役の脚本になるに違いない。この本は読んでいるときから、映画化されるだろうなとは思っていた。

合唱を指導する先生役を演じることで、長く中断している歌手活動に、ガッキーがまた再び情熱を注ぐようになってくれたらいいのになと思う。

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