2014年7月8日火曜日

「BUNGO ささやかな欲望 告白する紳士たち」(2012)

これは2012年に公開された映画らしい。DVDで見ることができる。橋本愛が出てるので見てみた。文学作品オムニバス映画。文芸作品を映像化することは映像作家にとってもひとつの野心。ささやかな欲望とはそんな意味もあるのか。

1本目は岡本かの子(岡本太郎の母!)原作の「鮨」

橋本愛リリー・フランキーで映像化したとなれば興味を惹かれる。自分はまだ岡本かの子の本をめくったことがない。
Hashimotoai_bungo
家の寿司屋を手伝う橋本愛は、着物姿で「先生」と呼ばれる常連客の中年男になんとなく好意を抱いていた。
金魚屋で先生を見かけて声を掛ける。ふたりで空き地で休息。先生の幼いころの話を聞かされる。まるで泉鏡花のような超潔癖症少年で、鮨以外ほとんど食べ物を受け付けられない。
また店に来てくれるように約束したのだが、先生はもう来ることはなかった……という短編。映画化にあたって脚本は原作と多少違っているらしい。
リリーと橋本のかもし出す昭和初期の雰囲気がいい。この二人は完全に名優といっていい。

だが、自分としてはリリー&橋本以上に、リリー先生幼少期の母親役・市川実日子の風貌と台詞が本当にその時代の人に見えるぐらいに絵になじんでいて素晴らしいと感じた。
Narumi_bungo
2本目の「握った手」という作品では成海璃子山田孝之の二人が山下淳弘のメガホンでシュールなラブコメを演じている。ふたりの役者がはまっている。いい味を出していた。3本のうち、これが一番面白いと感じた。

成海をのめがね姿を見て、「坂口安吾かよ」と突っ込んだら、この短編は坂口安吾原作だった。自分も「一番おかしいのはあなたです!」って怒られたい。

山田は憔悴した男をやらせたら日本一。カフエー女給・黒木華も言葉にできない存在感でそこにいる。さすがの若き名優たち。
Haru_bungo
3本目は林芙美子「幸福の彼方」波瑠の主演で。お見合いで結婚した相手の男は戦争で左目を失っていた。そして秘密にしていたことが…。里親に預けてある子供がいた。一方ヒロインは流しで行商をする家で育った過去があった……。

波瑠は「恋空」にも出ていたので女優としてのキャリアはけっこう長い。着物が似合う美人すぎて見てるだけで苦しくてつらい。どこか夏目雅子っぽくもある。鼻が高い!見とれてしまう雰囲気のある女優だ。

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2014年7月9日 0:28

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    寿司屋の客が語る・・・炒いり玉子と浅草海苔しか食べられない病弱・偏食の息子を治すため、寿司作ってくれた母の思い出。母の掌が手品のように鮮やかで・・・
    卵寿司の次が烏賊寿司。その初めての食感が鮮やかに描かれていました。
    それから注意深く色と生臭の無い鯛と比良目を握ってくれる。
    「平気で食べられた」ことに驚いて子供は「すし、すし」とせがむ。
    「鮨」は自分は子供のころ偏食家だったので印象的な小説でした。

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    いつもながら、川崎さんはなんでも読んでる!

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