flower flower @悠日カフェ（宇都宮） 1月26日

ここでは通常YUIのことを書いているのだが、最近YUIファンの間で話題の「flower flower」というアーティストのことについて書いてみたい。flower flowerって一体何なのか？ソロなのかユニットなのかバンドなのか？各地でライブをやってるらしいのだが、いつどこでライブをやるのかまったく不明なのだ。

先日、見ず知らずの方からライブの情報を知らせていただいた。本当に出演するのかはわからないが、可能性は高いという。うーん、行けないだろうな……と、ノートパソコンを閉じた。

だが、この機会をのがすともう2度と出会うことはないのかもしれないと考えた。しかも、チケットが今の段階なら買える。自分に知らせてきたということは、「行って取材して来い」ということだろう、ということで次の瞬間にはもう行動を起こしていた。

26日の15時30分には宇都宮にいた。会場には既に若者が10人ぐらい集まっていた。入場口の張り紙だと「SOLD OUT」らしい。出演者の記載がない。開場時間の16時30分ごろには50人ぐらいの人が集まっていた。自分がよく行っていたあるアーティストのライブコンサートでよく見る感じの人たち。整理番号50番以降の人たちが特にそう見えた。

この会場はカフェとして営業している場所らしいのだが、大谷石で作られた倉庫蔵を利用した施設。この日の宇都宮は冷たい北風の吹く底冷えのする寒さ。外で待つ若者たちも倉庫の陰で風をしのいで待っていた。

スタッフが整理番号順に呼び込みを開始した。こういうタイプのライブでは珍しいが、今日の公演では写真撮影、録音は固く禁止する旨を注意していた。このことは何を意味するのか…。

この日の出演者はみなギター弾き語りをする男性ばかりだったが、紅一点4番手で登場した19,20歳ぐらいに見える小柄な少女がflower flowerらしい。明るい色の金髪ショートボブで色白。「バットマン」のロゴマークがプリントされた茶色の長袖の服に黄色とオレンジの大きなストール・マフラー、花柄プリントのズボンをはいていた。

事前にスタッフらしき男性がセッティングしておいたギターを抱えるとイスに座ってポロポロと弦を弾きながら、マイクの位置を確認するとやがて歌いだした……。

1曲目が終わると「フラワーフラワーです。よろしくお願いします」と挨拶した。flower flower とはこの少女1人のことをいうらしい。
この日flower flowerはアコギ弾き語りで5曲歌ったのだが、1曲目は「花」について歌った曲だった。どうしてflower flowerという名前を名乗っているのかについて重要な手がかりになりそうな曲だったのだが、この曲が一番アップテンポで自分のメモ速記が追いつかない。歌いだしが音程の低いところから始まるのでよく聞き取れなかった。

サビ部分が「命を削りながら咲いてた」「心の中に咲き続けるよ」という感じだった。自分はこの曲が一番気に入った。たちまち引き込まれた。ちゃんと曲名があるのかもしれないが、何も言わなかったのでタイトル不明。便宜上この曲を以下「flower flowerのテーマ」と呼ぶことにするが、明らかに天才の技だと感じた。強い印象を残すように周到な細工と工夫が施されたJ-POPよりも、ギター1本の素朴さを感じさせる、かつ聴いたことのないような不思議な曲で歌詞も強いインパクトがあった。ツチャツチャツチャツチャというストロークで「花はいつの間にか溶けて土になった　Uh～ 痛くて悲しいくらいに美しい」「ずっと目の奥から消えない　罪深くて愛おしい花」　

こんな歌唱ができるアーティストを自分は他にはたったひとりしか思い浮かべられない…。

「寒いですよね……」「今日は仙台から車で来たんですが、どこも冷え込んでますね。」「ホッカイロを３つ貼ってます」と朴訥としたMCの後に「宝物」という曲を歌った。

「お世話になった大好きな夫婦がいて、そのお母さんが一昨年、星になりまして…、その2人の曲を」と紹介した。自分はあるアーティストが「Music Lovers」という番組に出たときのことを思い出していた。「宝物」の歌詞をメモを見て書き出してみるが、正確なものではないことも付け加えておかなくてはならない。（※この曲は2016年9月になってようやく配信＆シングルCD化されたので、引用を超える部分は伏せることにした）

キミが死ぬときは　僕の息を止めてよ　　↓ A
どうして？それはダメよ
キミは困った顔をした

愛情っていうのは　形がないようだけど　　↓ A´
本当はたくさんのヒントを残しているよ

変わらない笑顔で暮らそう　　↓ B
くじけてもいいから　笑おう

キミがいない世界なんて　　↓ サビ？
僕にとっては意味がない
だけどキミはいつものように
やさしく叱ってくれる

あした　もし世界が終わってしまうとしたら　　↓ 2番？
愛する人に会いたい
ありがとうって伝えたい
愛し方も忘れてしまいそうだけど
キミのそばにいたいよ

キミがもし僕を嫌いになっても
この想いは消えないの
言葉じゃ伝えきれないほど
想いはあふれているよ

ねえ、（……）　僕の目を見つめて　　　　歌詞が一部不明
呆れたような顔をしたキミをずっと愛していくよ
キミは僕の宝物
もし私がいなくなっても
ちゃんと生きていくのよ

二日がかりで採取したのだがカッコ部分がよくわからない。歌詞を間違えたのかもしれないが、歌ったとおりだと内容のつじつまがあわなくなるので保留。メモをとるのに必死でどんな曲だったのかあまり印象に残っていない。ミドルかスローなバラード。

再び宇都宮までの移動の話を始める。「眠くて助手席で寝てしまうというヒドいことしてて」「パッと起きると窓が凍っていたように見えた」「窓を開けたら寝てる人を起こしてしまった」「エアコンを25℃にして風量を上げたら（凍っているのが）消えました。臨機応変ねっ」という内容のあるようなないようなMC　しゃべり声もまるで音楽のようにやたらと美しい。

次に「コーヒー」という曲を歌った。これが噂に聞く、内容が過激な曲か！しかし、歌詞が問題作と言えるような曲は自分の聴いたところだとこれ1曲だけのようだ。

「タメ息をつきたくなる瞬間がみなさんにもあると思いますが、そういう時に曲を作ったら、トゲトゲしい曲になってしまいました」　

タメ息ついた　飲めないのにコーヒーを飲んだ
もういいよ　やめよう　すべてがどうてもよくなってきた
だまされないように気をつけてとキミは笑った
そんなのわからないよ

で始まる。不満と怒り、諦めの感情をぶちまけたかのような曲。「ポップなメロディー　嫌気が差すの」「逆らって生きたら居場所がないの」「うたぐらい自由に歌わせてくれよ」「消えうせろ！×8」「もういいよ　やめよう　ホントはしがみついていたいのさ」……など。
エルビス・コステロは「悲しい歌詞にはとびきり明るい曲を、明るい歌詞には悲しい曲をつけるんだ」と言う。flower flowerというシンガーは異常なまでにネガティブな歌詞に美しい癒しのメロディーをつけて歌っていた。

この会場は経験したことがないぐらいに寒かった。石造りの天井の高い倉庫。底冷えするうえに足元を隙間風が吹き抜ける。まるでワカサギ釣りにでも来たかのようにじっと寒さに耐えた。女子や50代ぐらいの男性客にとっては辛いものだっただろう。
それは出演者にとっても同じだった。前の席のカップルはflower flowerのときだけ席に戻ってきていた。薪ストーブがステージ前に置いてあるのだがほとんど暖まらない。光のオブジェがいい雰囲気を出していたのだが。

「寒いので立ってみますか…。立って座ってみますか…。やっぱりやめますか…。」という、どこかで聞いたことあるようなフェイントMCの後に「帰りたい場所」という曲を歌った。

なつかしい友達　話し出せば同じ
なんでもないこと話そう　いつものように歌おう
ルララ　ルル　×2
帰りたい場所がここにある
いつもいつまでもそのままで　Ah～　Oh～
手を振れば　また明日へと踏み出せる気がする
なんでもないこと話そう　いつものように歌おう

会いたくなったらおいでよ　と
いつも　いつまでも　がんばれる
帰りたい場所が「　　　」にある
いつも　いつまでも　そのままで

ルララルルの部分は「レレレのレ」「ゲゲゲのゲ」に置き換えて、会場のみんなで歌うことを促す。「　　」部分はそのライブ会場の名前を入れて歌われる。そしてこの日の最後に歌われた曲名のわからない曲

なにげない日々があるよ
なにげなくキミが笑った
そんなことで心が幸せに染まってゆくよ
人生に理由をひとつあげるとしたら
キミに出会うためだと私にはわかるんだよ
聞こえる？
こんな気持ちをくれて本当にありがとうね
キミがいるこの世界は　愛おしくてしょうがない
いつまでもつながって　どこまでもやさしく包んでいてね
最愛の人　ずっとそばにいて

最後に出演者全員が横一列に並んで斉藤和義の「歩いて帰ろう」を歌った。宇都宮ではこの曲がデフォなのか？
flower flower は「嘘でごまかして 過ごしてしまえば たのみもしないのに 同じ様な朝が来る」の部分を歌った。 「寒いので風邪をひかないように気をつけて帰ってね」でステージから去って行った。初めて見たうえに曲も知らないアーティストのセトリを無理を承知で組み立ててみる。わかる人が見たらわかると思うから。

1. flower flower のテーマ（タイトル不明なので仮）
2. 宝物
3. コーヒー
4. 帰りたい場所
5. 最愛の人（タイトル不明なので仮）

とてつもない経験ができた。情報を知らせてくれた方のおかげだ。最大限の感謝の意を伝えたい。行けなかった人のために全力でレポしてみた。体調が万全でなく寒くて疲労困憊したが、来てよかった。自分はステージ上が良く見える席を確保できたし、別の場所で50cmほどの距離でflower flower を直視できたのだが、とんでもない美少女オーラを出していた…。1曲目がとても気になる。あぁ、もう1回聴きたい…。

他の出演アーティストもとてもレベルが高かった。特にKUDANZという唯一エレキで弾き語りをした人の歌声が印象的だった。flower flower が唯一「お会いしたことがある」と言っていた小西透太（サクラメリーメン）も印象に残った。

PS.　これはまったくの余談だが、ライブに来ていた人の何人が気づいただろうか？会場入り口前にある倉庫にテナントで入っていた会社の名前が奇しくも↓↓↓というものだった。