2013年1月2日水曜日

松本清張 「信玄戦旗」を読んだ

世間には異常に戦国武将に詳しい人がいる。しかし、自分は何もわからないのでふんふんと話を聞くだけ。

「私説・日本合戦譚」の「川中島の戦」を読んで、さらに一歩進めて読んでみたいと思っていたところ、「信玄戦旗」という1冊が目に入ったので読んでみた。角川文庫で出ているやつ。これも105円で手に入れた。

これは1987年に初版刊行。翌年のNHK大河ドラマが中井貴一主演の「武田信玄」だった。今でも多くの山梨県民にとって、この大河ドラマ「武田信玄」は語り草。

近年、山やらドライブやら山梨方面に出かけることが多かった。(笹子トンネルの事故は人事じゃない……。)山梨は甲斐の国。いたるところ「信玄」の文字を目にする。
が、自分はぜんぜん武田信玄のことを知らなかった。教えて、清張先生!

山梨側から富士山を見るととても美しい。山梨方面の山へ友人と出かけると、この歴史に詳しい友人は武田信玄に今川義元が富士山自慢をするシーンを語りだす。

今川義元を演じたのが中村勘九郎。(先日急逝した)後の中村勘三郎がとてもインパクトのある演技をしていたそうだ。この本を読んで初めて「三国同盟」のことを学んだ。だから後方の心配なく上杉謙信と戦えた。

実の父を追放していること、有能な家臣たち、信濃侵攻、5度の川中島、家康との対戦、伊那で没などなど「信玄」必須ポイントの多くのことを学んだ。適度なボリュームで手ごろ。あっという間に読み通した。もうちょっと長生きしていれば織田信長に代わっていた存在。

日本人は頭がよくて老獪な人物よりもアホっぽく猪突猛進型のヒーローを好む。清張は意外に上杉謙信という人物への評価がキビしい。

「甲陽軍鑑」をほとんど信じてない清張ならではの見方がある一方で、存在が疑わしい「山本勘助」を「描写がいきいきするから」と登場させている。

「私説・日本合戦譚」の連載からその後、山本勘助をめぐる歴史学上の展開があったことも影響したのかもしれない。

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