松本清張が日本中世の芸術家をモデルに自由に創作した短編小説集「小説日本芸譚」(1957年に芸術新潮に連載されたものをまとめた文庫本)を読んでみた。
これも自分の興味を満たしてくれそうな内容で、たまたまそこに105円でそこにあった。
運慶、世阿弥、千利休、雪舟、古田織部、岩佐又兵衛、小堀遠州、光悦、写楽、止利仏師といった自分がほとんど知らない人物たち。
この小説は伝記というわけではなくて、人気作家の道を一気に駆け上がる前夜の清張らしい視点で、主に中世の権力が移行していく激動期に老境に差し掛かった芸術家たちの心境と一場面を切り取ったかのような作品。
読めばだいたいどんな人かわかるように書かれてはいるものの、その人物を知るためにはあまり役に立たないかと思われる。
千利休、古田織部、小堀遠州のラインが「茶道」と信長、秀吉、家康を描いていて面白い。
最後の「止利仏師」だけは他と違う。止利仏師について書いてみたいな~と思っている作家(清張自身)が推理をめぐらすというもの。
どれもコンパクトにまとまってすぐに読めてしまう。どこから読み始めても構わない。どの作品もそれなりに味わい深い。
清張には時代小説が多いが、自分はあまりこのジャンルには関心がない。
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