2010年のはやぶさ帰還ニュースが日本国民にとって久々の快挙だったために同じテーマの映画を3社が競作した。これは渡辺謙主演の東映「はやぶさ 遥かなる帰還」。
竹内結子&堤監督によるフォックス「はやぶさ」(以下、竹内版と呼ぶ)を見た後なので、比較しながら見てしまうことになるのだが、脚本がまったく違うため印象も大きく異なっている。
竹内版が大学院卒アルバイター天然ヒロイン竹内(映画のために創造された実在しない人物)目線なのに対し、渡辺版はプロジェクトのリーダー川口氏を中心にしたもの。新聞記者夏川と町工場の社長の父山崎、イオンエンジン技術者江口と吉岡(じゅんくん)あたりも軸に描かれている。
竹内版が研究開発の現場あるある的な、キャラの立った魅力的な登場人物たちに焦点を当てたコミカルさが面白かったが、渡辺版はプロジェクトX的な重厚ながら真面目に淡々とした大人の映画。笑うシーンは一切ない。
渡辺版はじっくり見ないと内容がよくわからない。竹内版を見た自分でもよくわからないのだ。竹内版は流して見ても技術的なことがよくわかる。ターゲットマーカーが「お手玉」をヒントに作られたことや、イトカワ着陸の距離がマイナスになっていく手に汗握るシーンなど子どもが見ても理解できて面白いと思うドキュメンタリー調。
イオンエンジン技術者同士の「そんなのテストしてないし」「一か八か」という衝突は竹内版には一切なかった。渡辺版は役者の演技を見る映画。テレ朝小松アナが記者役でチョイ出演してて、「あっ、パフュオタ」ってツッこんだ。
世間的にどちらが評価が高いのかは自分にはわからないが、わかりやすい竹内版を推したい。竹内版のほうがオーストラリア上空で燃え尽きるはやぶさを見守るシーンが感動的。
0 件のコメント:
コメントを投稿